MUKU-DATA  木のキャラクターを活かした器など  U様

先週、預かっていた神代栃をU様が製作依頼をしている木工所へ届けてきた。
帰りU様宅にお邪魔して、木の個性を活かして作ってもらったという
木工品の数々を見せていただいた。
どれもそれぞれに個性的で見て触れていると楽しい気持ちになってくる。

当然ながら木にはそれぞれに特徴があり、一般的には欠点と言われる割れ、反り、節、欠け・・・ 上げればキリがないほど材としてチェック項目は多岐に渡る。
伝統工芸用の視点で材を見れば、指物、刳り物、挽き物など、木の欠点はとかく許されない場合が多い。
そして技術に裏付けされて完成されたものは、それはそれで素晴らしい。
まず神経質なほどに材の厳選から始まり、材質、組合せ、見え方、など
一つの作品の中で使われた材自体も作品の評価に少なからず影響するかと思う。

普段、丸太を製材し、木から使える材へ仕立てるのが我々の仕事ではあるが、
木には当然、良い部分と悪い(?と言われる)部分が共存している。
共存された全体からほんのわずかな無欠点と言われる極上の一部分だけを切取り、
材に仕立て上げられたのが、所謂、銘木と言われるものである。
割れ、欠け、節、反り・・は取り除かれ、それらは別な材へ向けられる事もあるし、破棄される部分もあったりする。

欠点と言われている、例えば節の近くや癖の強い部分の直ぐ脇には、
不思議とどれもキレイな杢目が混在していることが多い。
木は本来良い部分があり、悪いと言われる部分も混在して一本の樹となっている。
毎日そんな木を眺めているとなんだか人と同じだなぁ・・・って思ったりする。
傷ついた心の直ぐその先には、自分では気づかないかもしれない
キラリと光る大切な何かを得る事になる。
木も人も同じ、自然の法則だと思う。

そんな木の割れや捻じれを活かした器など見せていただき、
心に触れる楽しいひと時だった。

割れや欠けを活かして作られた神代楡の器
これ作った人、木取りが上手いなぁ・・と心が擽られた。
手作りされたものを見ているとその製作者の心が見えてくるような気がする。



黒いものは神代栗 細かな割れも景色となって、手に持った感触がとても良かった。

棚には木の実が置かれてあった。 それぞれの木工品とその木の実
左から栗、栃、胡桃、ペカン
何だかとても可愛らしくて、森を近くに感じる。

葡萄の木で作られた器も見せてもらった。
最近可愛がっている捩れたマイ葡萄を持参して
こんにちは、こっちはまだ材のままですが・・と、一緒に記念撮影