◪ MUKU-DATA  虫食い黒柿   

先週末、変な黒柿買ったから見に来てよって電話をもらい、
久々に変態Tさん宅へお邪魔してきた。
しばらく前に画像でこの黒柿が送られてきたが、いまいち現物を見ないとピンとこない。
T氏は過去、木以外で色んな珍しいものを収集してきたようだが、
最後続けているのは「木材」のようだ。

木で作られた物に辿り着く人は何人も見ているが、
例えば自分で選んだ木で家具を作って集めている人だったり、
古い杢のある器を集めている人だったり、
とにかく欅で作られた家具や建具だったり、それが黒柿だったり、・・・
最終的に木の物であっても、そのジャンルは更に細かく分かれている。

T氏の場合は、加工されない板類の木のブツ、そのものを集めていて・・
(集めるというよりは目にすると蒐集癖が止まらないようで、
先日もう見れないようにタブレットを水没させたらしいが・・)
その板類を壁に立て掛け、ビールを飲みながら
多分、木の模様を眺めながら無言の対話をしているのだろう・・と思う。

木の話をしていて、良くT氏の口から出てくる言葉に
「この木、来る、着てる。」
「グッとくるものがある。」
「呼ばれている。」
などを耳にするが、T氏独自の木の雰囲気や色気?のようなものを
感覚的に捉えているのかと思う。

黒柿と言えば極上のものは云百万もする。
先日もお付き合いのある銘木店が確か600万以上の黒柿床柱の商いをしたと
話していた。
あの墨流しの木目はどこか感性に訴えかけてくるものがあるのは確か。
また極上の黒柿となれば仮に使えるお金があっても簡単に手に入れられるというものでもない。
数が限られているし、極上と言われる物があったとしても、
その杢が好みかどうかは人それぞれに違う。

材の評価は人それぞれでいいかと思う。
多様な価値観があってこそ、思っていたより安く手に入れる事もできるし、
どこにもない自分だけの世界観を作ることもできる。

虫食い、スポルテッド、欠け、樹齢、・・・
欠点を利点に変え、美点として見れるのはその人の感性
自分が良いと思えばそれで良し、
良い木って何だろう・・・と疑問を投げかけられているようでもある。

なかなか雰囲気のある黒柿だなぁ・・・と眺めさせてもらった。