MUKU-DATA  桜の樹皮 

板として製材されたのち、その一枚板を保管する前には
必ず樹皮の部分を剥がし、割れ止め、必要に応じて木口に鎹を打ち込んで
桟入れして数年間天然乾燥を行う。
樹皮を剝がす理由は虫が入り難くする為で
樹皮と辺材白太部分の間には虫にとって安全で居心地のいい場所のようだ。
(樹皮を剥がしたからといって虫が入らない訳ではないのだが
剝がさないより剥がした方がまだ食われ難いので)

この樹皮剥がしが材種によってなかなか剥がれない木もある。
伐採した時期、丸太で放置された期間にもよるのかもしれないが、
例えば樫の木、杢の入り組んだ栃、楓、クヌギなどは樹皮剥がしに苦戦する。
板にされた側面の両耳部分をキレイに一枚剥がすのに一日を要するなんてこともある。
自然なままの両耳を大切に残すことは材種によって見えない手間が多くかけられている。

樫類とは別に、何もしなくてもしばらく放置して乾いてくると
自然に樹皮が剥がれてくる材種もある。
経験上、例えば欅、榎、桜など
丸太の状態でも両耳一枚板となっても暫く外で放置して
材が乾いてくると樹皮が脱皮するかの如く剥がれていく。

先日製材した桜の一枚板の樹皮を剥がした。
剥がしたというより鑿や道具など使わずにゆっくりと剥ぎ取ったといった感じ。

前々から樹齢のある木の樹皮や大きな面積の樹皮には興味があり
良いものがあると時々少しだけ取っていたが
一年ほど前に、高樹齢の栃の根っ子付近の丸太を放置していたら
自然と剥がれた大きなそのままの樹皮が見た感じとても良かったので
これは何か使えるかも・・と今回桜の皮むきの際に思い出し採取した。

動物の皮はなめして革製品の素材として使われるのに
樹皮の利用は、思い当るのは角館の桜の樹皮を使った樺細工くらい。。
他に何かあるんだろうか・・・?
そんな事を思いながら桜の樹皮剥がしを行った。
途中で力を入れるとちぎれてしまう。
大きな樹皮を剥がす為に、先の尖ったヘラのような棒を差し込んで
ゆっくりゆっくり力をかけて樹皮を採取した。
途中でちぎれれてしまうと、、あぁ・・・残念・・・
大きなものが取れると大物取ったどぉ~!と一人盛り上がりながら作業をした。

剥ぎ取った樹皮を、外に立て掛け乾かしているが、
果たして虫が出てくるのかどうか・・?
割れずに使えるのかどうか・・?
材面の見える材木は勿論良いんだけど、
樹皮は樹皮で自然のままたっぷり天然素材感は何かに活用できそうな質感がある。