MUKU-DATA  天井仕上げ材

床板は「無垢フローリング」が定番になりつつあり
様々は「材種」のフローリングを目にするようになり
今度はヘリンボーンをはじめとした「貼り方」で個性を出すようになっている。
この床材の変化に対して
天井に関してはシンプルなものが多い。
個人的には単色のシンプルな壁と天井に床だけ木ってのは好みだし、
何だったら床も木を止めてテーブルだけド~ンって一枚板っても
潔くて見た目、かっこよく見えるんだろうなぁと思ったりする。
どちらかといえば、そういう使い方の方が好みなんだけど、
天井材に関しても色んな部材がある訳で・・
折角だから天井も造作してみました。
和室畳は座した視線は上に向かうので、
昔の和風建築には凝った天井が多く見られたように思う。
折上げ格天井、竿縁、竹、舟底、屋久杉無垢天などなど
バブル期後半はもう大工さんは忙しすぎて
いい家なのに、突板の上杢の目透かし天井、巾広突板の脂松縁甲板、
床の間は欅上杢の貼物と
仕事に追われ、手間をかける時間が無かった事が窺える。
するとどうなるかというと、
例えば天井目透かしは、サイズは同じなのだがよりよく見えるようにと
高価な上物の突板を貼った霧島杢とか、
表面上だけが高価な物になっていってしまう。
どれもパッと見同じで、ここは高価な材を使っているね、って感じで
時間が無くて大工手間が使えなかったが為に
高価な材なんだけど、何となく陳腐で
成金趣味的に見えてしまうような結果になってしまったのでしょうね。
いくら高価な材を使ったとしてもそれに見合う技術、造作がなされないと
いけないのでしょう。
材料と大工技術のバランスが大切なんだなぁと感じます。
で、普段からこういった材があるのになぁ・・と
皆さんに使っていただきたいと思い続けても、今はシンプル一番的な風潮は
まだまだ続いているし(自分自身も本来そっち系が好きなんだけど、)
じゃ、ここでやってみようって事にした訳です。
やった事で、色々と改善点も見えてきますので
仮にこういった材を検討されている工務店が来られた際は
少しは問題点は話せるのかとは思います。
常に、売る前の実験
売る為の前段階の失敗はできる事は自らやってみてから
って事とも言えるのですが。。。
はい、失敗作
梁材:栗、天井板:栗挽き材、柱:栗六角名栗
梁は土場に放置された朽ちかけた丸太から製材、
古色を出したくて、柿渋を塗ったが、ベタっとしておもちゃみたいになったので、
柿渋に少しだけ墨汁を入れて濃くして再度塗装しました。
でもまだ、いい色じゃない。何が足りないんだろう。。。
あと、梁が全体的に大き過ぎて、重い感じがする。
大きさは再三考えたが、実際に取り付けてみると、重すぎる?
いっそもっとデカイ方が良かったか?
中途半端な大きさが、しっくりしない。
栗の挽き板は安価なスポット品を市場で買った物。
真っ黒くて誰にも見向きもされなかったが、
木なんて削れば新品、経変変化で早く焼けて馴染んで欲しい。
こっちは平三畳の畳間
当初、茶室を試みて天井も草の真行草の三段階として、
炉も設けようと試みたが、茶室の展示場ねって見過ごされるのが
嫌だったのであえてやめてソフトにした。
メインの天井は6x9尺、黒部板目枌板矢羽網代(くろべいためへぎいたやばねあじろ)
竿に竹を入れたかったが、この作りでは煩くなるので6x9尺の繋ぎ目なしで
枌板職人から編んでもらった。
天井見切り材は黒柿の売り物には難がある壊れたやつ、
その先が、代萩ベニヤ丸
床の天井は安価な杉の上小節無垢天
といった具合です。
天井、特に和室天井材と言われているものは
そのうちに無くなってしまうのではなかろうか?と思います。
面白い素材が沢山ありますので和に限らずに是非活用してもらえたらと
思っています。
因みに枌板職人も全国でもう数える程度らしいです。
絶滅危惧種ならぬ、絶滅危惧職人っていうのがこの業界でも多く存在します。
矢羽網代をお願いする際に電話で色々お話した中で、
弟子はいないのですか?の問いに、
こんな状況では伝えたくても雇えない、と言われていました。

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