MUKU-DATA  新発田屋木材倉庫にて

昨日、夕方5時に予約のあったお客様にご検討いただいている材木を
露店商ならぬ屋外でその色や木目等を、実際に見ていただいた。
屋内の照明だと実際の色が分かり辛いので
夕方だが、まだ屋外の自然光の方が現物の色や木目、その表情は分かり易いので
外へ材を出して説明させていただいている時の様子。

用途は、テーブルの上に置く「敷板」
杢目を眺め晩酌しながら一日の疲れを年輪のように整理し癒しとなる為の敷板

全て杉なのですが、
樹齢のいった杉で杢のあるもの、2500年も埋もれていた鳥海山神代杉のロマン
赤白の源平杢のコントラスト、世界遺産の屋久杉、
香りで攻めるならこの高野山の杉は甘い香り、・・等々
お客様の要望、反応に応じて都度、倉庫から出して
屋外に並べて説明していたら何種類もの杉が並んでしまった。

木材購入の際は、実際に現物を見ないとその物の本来の姿は
なかなか伝わらないと思っている。
ECサイトでの木材販売も検討していない訳ではないが、
昨日の「敷板」一つを例にとっても、
通販では説明しきれないほどの一枚に関しての来歴、見方、材としての価値、と
お客様の要望に応じての都度ご説明させていただいた。
chat GPTでも要望に応じての提案を近い将来きっとできるようになるのだろうが、
材の持つこの微妙な佇まいや香りやオーラのように掴みがたい五感に触れるような事までは、AIで果たしてどこまでできるのか・・・とも思う。
そういった感性のような曖昧なものは商品購入に関しては今の時代求められていらないのかもしれないが、、
工業製品ではなく一枚一本顔の違った材木に関しては
やはりこの微妙な感覚的な事は大切だと思っている。

商品はお店で確認して購入はECサイトで・・と
最近やはりのショールーミングも、やはり一点物の材木には当てはまっていき辛い。
ただ単に「木」が欲しい、「杉」「桜」が欲しいであるのなら
それらは一定数の効果はあることかとは思う。
その点、感性に触れ心に響く木、材、に関しては
工業製品と違ってネット通販での継続的な販売や爆発的に売り上げを伸ばす事は
難しいものかもしれない。

なにより敷板一枚にせよ、お客様が本当の意味で求めている材を肌で感じながら
倉庫の中から選択して引っぱり出して説明させていただき、
ご満足いただける事はこの上ない材木屋としての喜びでもある。

そう考えると材木、特に感性に響くような美観的な材を説明しご購入いただくことは
非効率な作業なので、大きく販売量を伸ばすこともそういった材が流行るという事も、、今後も大きな期待は
ない。であろうと想像でき、、、少し絶望的な気分になってくる。。
それでも材に毎日向き合えるのは、
別なところに仕事の意味や材を愛する心があるからで
何とか前向きな気持ちをキープできている。

お客様は昨夜は持ち帰っていただいた杉の杢目を見ながら
楽しみながら晩酌していただけただろうか・・