■ MUKU-DATA 杉 柾目 浮造り仕上げ 1000×460 t12mm
もしも、自分が家を建てるのであれば
この材はこういったところに使ってみたいなぁ・・って
毎日材木を触りながら想像している。
見た目、質感、雰囲気、サイズ、色、形、価格、見せ方、使い方、納まり、
組合せ、材質、癖、状態、・・・・・・
木は何十通りも検討箇所がある。
欠点を探し出したらキリがない。。考え出したらキリがない。。
終わりの見えない素材が材木の魅力の一つとも言える。
正解はない。
写真の杉柾の浮造り板は、腰板として作られたもの。
柾目の浮造りの腰板自体そう多くは目にしないけど・・
(きっと大きな杉丸太を挽いてみたら板目部分に何らかの欠点があり
板目部分が使えなかったので両サイドの柾も腰板に仕立てたのかもしれない。。
否、板目部分は2尺巾で木取りして両サイドの柾目もついでに浮造りをかけたか・・)
柾目と言えば元から末まで真っ直ぐに線の通ったものが一般的には良しとされる。
(根元部分を外した2の玉からの柾取りとなる)
この板は根元付近の根曲がり部分の柾から立上り曲線を描いている。
しかも点々と葉節が入っている。
「ハイ、柾板です」と言ってもプロの目には見向きもされないだろう。。
材木屋のこうでなきゃいけない、柾目はこうでなきゃ柾と言わないという
今まで積み上げられてきたプロの視点かと思う。
よくぞ、こんな柾目で浮造りをかけていただきましたと
数年前に市場で買っていたもの。
プロから見たらあり得んでしょ?この曲りの柾・・
もう決して市場でこういった物が出る事はないのかもしれないし・・
否、次世代の傾いた若者が挽く製材所が残る事ができるのであれば
こういったおかしな材が市場に並んで違った意味で華やかになる事も
あるのかもしれない。。( 望んでいるのだが・・・ )
(望む・・自分でやればいいのか・・・ 迷木市場を・・
珍木、迷木市場があったら面白いだろうなぁ・・
少しは日本の林業に貢献できるかもしれない・・
そんな事より、何より楽しいよね! アイディア満載、木の可能性はどんどん想像を超えていく・・
求む:全国の珍木、迷木好き だな)
この板は腰板用として作られたが和室畳の前室の板の間の床として使用する事になっている。
畳1帖分なので共木の板を4枚並べて貼る。
白太の見え方も面白くなるだろう。。
どのように並べるかで見え方も随分と印象は違ってくる。
あとは施主さん、建築家さん、現場監督さんで相談して
リビングから障子を開けて畳間へ入る前の前室の板の間の床の木取りを
していただければと思う。
良材の価値観って何なんでしょうね・・・?
この板、年輪の色のグラデーションも面白いよね。。
その年に何か気候変動など環境の変化があったのかなぁ・・?
根曲がりの曲線も良いよね・・躍動感を感じる。
杉の大木が大地にしっかりと踏ん張って生きてきた断片を垣間見、立っていた時の事を想像できる。
葉節も何だかいい。隠さずに素顔、
欠点を隠すともっともっと上塗りしなきゃいけないよね。。剥がれて見えた時は
残念な気持ちになってしまう。
いいんだよね、そのままで。そのまま葉節があることがあなた自身の本来の顔
愛おしくさえ思えてくる。