■ MUKU-DATA 黒檀丸太 3m φ120mm 

前後の記憶は曖昧だが、
確か細かな仕様を決める前の設計段階からで建築家と材木が好きなお客様で
木材倉庫に来ていただき、材を見ながらどう使おうか?って
具体的な仕様を決めていったかと思う。
でなきゃ、見積書の床柱の欄にこの黒檀丸太と記載しているはずがないから。。。
床柱に絡む幕板は楓両耳付きの一部墨流し(スポルテッド模様が入っている)

この丸太に出会ったのは
かつては床柱を製造していた工場の片隅にあったもの。
埃が被り何の材種かも店主も定かではなかったほど古く枯れた材だった。
きっと40年ほど前に作られていた瘤洗い出しの床柱の丸用として
取寄せておいたものなのだろう。。。
(このままの状態で製造しなかったのは何か難があったのか?時代が変わりつつあった為なのか・・・)
埃を払って良く見れば黒檀ではないか!

黒檀と言えば正角にしてキレイに仕上げて磨き、当時は床柱の中では最高峰の材
入母屋造りの2間続きの和室には黒檀、紫檀そして鉄刀木はステイタスの象徴として
使われていた。
丸の洗い出しとして加工されなかった黒檀丸太・・
40年も陽の目を見ることなく片隅に佇んでいた丸太・・
これ雰囲気あっていいんじゃないのかなぁ・・と
他の唐木類と共に仕入れておいたものだった。

図面上の和室は、竿縁に無垢天と結構本格的な造作になっていたが
建築家のフィルターを通して現代風にアレンジして崩してあった。
真行草で言えば、、草。。か ・・
草の中での草の真、草の行、草の草で見るなら
使われる材や造作からしたら草の真っていったところか・・・
(数寄屋建築を得意とする藤森工務店さんにご教授いただきたいところだが・・)

埃が被ったままで何の木かわからないままだとタダの汚い丸太?にしか見えないのもなんなので(わからないままでもいいって言えばいいんだけども・・)
厭らしくない程度に「僕、黒檀なんだよ」って部分的に顔をのぞかせる為に
建築家の監修の元、お客様と弊社社員との共同作業で一部磨きをかけて
それと分かるように仕立て上げた。
この微妙な磨き加減はきっと難しかったと思う。
多く身を出し過ぎればオラオラ系黒檀様になってしまう。
仕立てあげられた黒檀を見て、なかなか良い感じの佇まいに変身したなぁと思った。

先日、建築家さんがこの黒檀を確認しに来た際に
袖壁からの光の入り方、影の出来方などを中心に現物を見ながら
詳細の納まりを検討していた。

窓の位置や大きさ加減で光の入れ方など検討する事はあるのかとは思うが
納まりをずらしながらの光の取り込み方を見るっていうのは・・・あったっけ?
茶室、数寄屋では使う材の寸法や納まりまで厳しい決まりがある中で
材の立つ位置を動かし微調整しながら納まりを決めるって
面白いなぁ・・と眺めていた。

今風の面白い和室になるのかと思う。
そっくりとその通りに作る本家取りってあるけど、それはそれでやってみたいけど
現代の感性で作る和室ってものいいんじゃないかなぁと思ってる。