MUKU-DATA  漸草庵 百代の過客  立礼席
          柱:槐六角ナグリ  幕板:栗虫食い

4月某日、この建物に納材された銘木店さんを通じて
実際にここを設計施工された管理建築士さんから直接ご案内いただける貴重な機会をいただいた。
どこを取って見ても溜息しか出てこなかった。
妥協を許さない設計者、それに応えた銘木店、そしてここを作った数寄屋建築専門の職人たちの手の跡。
ついこの間までここを設計監理されたU氏、
要求される材を用立てするのに奔走した銘木店M氏の
ひとことひと言は重く、心に染みわたる。
果たして自分ならこれらの材を用立てできただろうか・・・?
造作材の目の詰んだ赤柾のみ用意するのがどれだけ大変だっただろう。。
景色のある虫食いの栗板、探しても見つかるものではないだろう。。
名栗の腰掛けに槐六角、材の選定が渋い。
やはり本物を作っているところと長くお付き合いしながら
継続して数寄屋建築に携わらない限りは材の用立ても不可能に近いのかもしれない。
まだ40代であろうかと思われる管理設計士さんの物腰の柔らかさと
どこをとっても妥協のない探求心は異常といっては失礼だが、
孤高の精神力、精神性を感じた。
「新潟にもお声がかかれば行かせていただきますよ」
その一言、とてもありがたく感じた。
本物の数寄屋建築を求めるお施主さんと出会った際は、
是非相談させていただきたいと思った。
出隅部分の納まりは行草の間では時々このような納めをするらしい。
初代が好んだ出隅の納めだそうで、
本物を作るところだから許される仕事の跡、まさにF流か・・

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