MUKU-DATA 神代欅 2017 11月製材 新潟県産(阿賀野川流域)SOLDOUT

もう一枚板の割れに対しての価値観は変わったのかもしれない。
割れていた方がむしろ自然な力強さや生命力を感じたりする。
一枚の板のキャンバスに対して、どう割れが入ってその一枚の景色を作っているか?
黒柿の墨流しも然り、スポルテッドの縞模様も然り、
用途に応じて木取りされた際に、その物体が全体としてどう見えるのか?
に重きがおかれているように・・
日々木に接しお客様に選んでいただく中で、そう感じたりする。

持っていなければ買えない者の僻みに聞こえてしまうかもしれないが、
例えば黒柿極上の孔雀杢、緑色も入り
木取りされたその部位の全面に満遍なく模様が入り割れも取り除かれいる。
欠点を全て除去してこれぞ銘木中の銘木の部材、、
こんなに小さいのに、1本100万超え・・・
どこを木取りしても欠点は出てこない。。素晴らしい材料だ!
という黒柿があったとしたら、
それは高いお金を出せば買えるもの、、
木工の木取りとしてはどこを捌いてもトロで苦労せず使い勝手のいい材料に
完成させられている。
まぁ超高くて当たり前だよね・・

銘木中の銘木は、材料に精通した目利きに仕立てあげられたもので
それはそれ相応の価値は絶対的にある。

それとは別に、欠点の取り除かれる前段階の割れ反り、節、怠けた木目・・など
木には本来、色々なキャラターが潜んでいる。
それを全体として見た時にどう見えるか?
どこか心に突き刺さる何かがあるのか?
長く飽きずに愛着を持てるものか?
そこに着眼点を置いて木をみる人たちがある一定数確実にいることを
多くの人たちに木を見ていただきに触れていただく中で思う。

この神代欅2枚は特に暴れていて、
色が黒めの神代だったので木工の部材取り用にでもしようかと
手をこまねいていたものだが・・
費用はかかるが試しに高周波プレスに出してみた。
初めから割れていたので時間をかけながらプレスするも圧は割れた部分へ集中し
出来上がりは平面出しは出来ているが更に割れが大きく広がっていた。

仕上がったそれを倉庫に立て掛ける際に一人ゆっくりとこの2枚と対峙する中で
なかなかイイ顔してんじゃん! これイケるかもなぁ・・と眺めていた。
2枚の共木の内の一枚目より二枚目の方の割れが大きい。
でも二枚目の割れ方や全体の見え方はいいような気がする。
通常であれば共木の板が2枚あった場合、大きく割れた方は割れの少ないものより価格を安めにつけるのかと思うが
二枚目の割れ方が良い感じだったので、ここは思いきって同じ価格表示とした。
(そうは言っても割れているので弱気の価格設定とはなっているのだが。。)

板を立てて数日、木材倉庫へ来られた数名に皆さんにこれスゴイ!、イイ!と
言っていただく。
それは価格と見え方のバランスで「イイ」をいただいているのだが、
材木を扱うプロとして弱気な価格設定が結果「イイ」となっている事は拒めない。

昨日割れの大きい方のこの板をご購入いただいた。
それって、そういう事だよね、、 
感性に嘘をつかず、一枚一枚、良く見て、仕立てあげていくこと。
割れに関しての価値観が共有できて
木の本質に更に近づくことができたよな気がする。


割れのある神代欅① 2000 600-1230-790 t65mm  福島県M様 SOLD OUT
          高周波プレス ランニングプレナー加工済み






割れのある神代欅② 2000 700-1280-820 t65mm  SOLD OUT U様
          高周波プレス ランニングプレナー加工済み




割れた板を高周波プレスすれば、圧は割れに負担をかけ割れは更に大きくなる。
しかし、あれだけ暴れていた一枚板が平面となり
一枚板天板等に使えるようになることはありがたい。

高周波プレスに出す前の神代欅の様子 → 木材倉庫・・・・



一枚板の大きさや力強さは、なかなか写真では伝わり難いと
常日頃思っている。
木を選びにきた工務店さんがこの割れた神代欅に対峙する姿。
彼はかなり「漢」個性も強く、話す言葉はいつもストレート
主張し存在感ある人物ではあるのだが・・・
裂けた神代欅を前にすると心なしか存在感は薄まるように見える。。
木はやはり現物を見て感じ取っていただきたいと思う。