MUKU-DATA  腰壁:カーリーメイプル  設計・施工:HOMME DESIGN 建築/オムデザイン建築

約、ひと月ほど前だったかと思いますが、
桜の件でお問合せの電話が・・・
床に桜を使い、腰壁も桜をご検討の様子でしたので、
何枚か製材した山桜がありましたので、使えるのかどうか見ていただく事に。

ここでオムデザイン建築さんの皆川さんに初めてお会いしました。
腰壁の既製品というと、杉にはじまり、まぁ桧、そして栂や楓なんかもたまに見ますが、
なかなかコレっていう使えるものが少ないです。
既製品に頼ると選択肢が極端に限定されてしまいます。
では、好きな樹種でいいなぁと思う形に加工するとなると、
現実問題、大工さんの手間賃は限られている訳で、
例えばビルダーの現場監督さんが大工さんに加工依頼しても、
手間賃はもう出てこなく難しがられたりして
実際、前例のないものの貼り上がりをお客様に伝えられず、
また苦労して手間をかけてもお客様にご満足していただけるだろうか・・・?
などなど・・・
全体のリスクを考えて、本当はいいのにお蔵入りってパターンが、大体いつものパターン。
現実はカツカツなんですよね、どこの現場も。
何事もなかったかのようにキレイにクロスでお化粧されてお引渡しという残念?でもないのだけど
もっと出来たし、こうしたかった・・・という作る側にはそんな気持ちが残るのもまた事実かと。
そして次の現場がはじまり、また同じような残念な気持が残る繰り返し。。
いつしか、そんな事も考えなくなってしまうのかもしれません。

で、これを実現させるには、誰かが頑張らなければいけない、陰で頑張れる人が必要になる訳です。

ただ挽きっぱなしの耳付の桜板を見ていただき、
加工は自分でするとの事、
皆川さんは自らデザイン・設計・施工のできる大工さん、
昔は良い大工さんと言われる人は皆さんそうだった。
だから、全体のイメージ、貼ったらどうなるか?
見た事がないものを施工した場合、お客様が喜んでくれるかどうか?
想像する事ができる。
お客様と直接話し、好みもわかっているのでしょうし、
それをダイレクトにデザインし自らの手で形にできる、
これほど強いものはないでしょう。

初めて会って少し話して、「あ、この人、本物、本気」って感じました。
倉庫の中の材を静かに眺めて帰られたのですが、
数日後、連絡、
倉庫の片隅に静かに佇んでいたカーリーメイプルを選ばれたのです。

「え? カーリーですか ?」

当社に縮杢の入ったカーリーメイプルの平割材があるのですが、
入荷してから数年、
納材実績は指物師さんのみ、
これに反応してくださり御柱祭に使う斧の柄の事で茅野市から一件の問い合わせのみで、
営業下手な当社として、建築関係からは永遠にご要望もないであろうから
もうこれは巾ハギしてキラキラした上品なカウンターかテーブルでも
作ってやろうかと思っておったところでした。

なぜにカーリーメイプルを選択したのか動揺して真意を聞かず仕舞いでした。
出来上がったら是非写真を送ってくださいね、とお願いして
お会いしたのは今のところ2回のみ。

もう一人のオムデザイン建築さんの水澤さんという方と数回メールでやり取りさせていただいたのみで
まだお会いしておらず、
建築に対して、誠実に、お客様の事、職人さんの事、
両方を真剣に考え、取り組んだいらっしゃるのが文面から伝わってきました。

50手前の同世代、なんだか共通の意識で建築に取り組んでいる方と出会えた事は
嬉しいですね、

皆川さんのカーリーメイプルの選択、

一件大人しそうな表情でいて上品、
それを壁に設えることで
ゆらゆらとさざ波揺らめく湖畔での月見酒を想像されたのかもしれません。

そこではないのですが、
多分カーリーメイプルの腰板は新潟では初めてでしょう。
全国でも家具には使われても、腰板ってのはないのではないでしょうか。。

木が繋げてくれたご縁です。
今日もまた一歩、頑張ろう。
素敵な写真、どうもありがとうござました。
ご紹介させていただきました。

オムデザイン建築 月明かりの部屋

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