MUKU-DATA  プラタナス 樹皮剥がし

先日賃挽きで挽いたプラタナス(だと思う)を3枚分けて貰い、
樹皮を剥がして、割れ止めを塗る為の準備をしている。

剥がれにくい樹皮を取るのは手間がかかる。
電気鉋や電動斫り機などで削り取れば時間は短縮できるだろうが
そうすると本当の天然の耳は削れて無くなってしまう。

このプラタナスもそうだけど、樫の木や凸凹した桜なども
樹皮は辺材と一体となってへばりついていてなかなか思うように剥がせない。
ものによっては一枚につき半日もこの地道な作業を行う場合もある。
全ては天然の耳を残したい為、これから桟入れして天然乾燥しながら
寝かせる期間に虫に喰われない為でもある。
馬鹿げた作業、生産性の悪い手間を要する作業でもある。

この作業をもっと簡易的に済ませたいのだが
いい策、案が思いつかない。

でもこれで、いいとも思う。
一枚の板とじっくりと向きあう事ができるのだ。
木目、木の繊維、特性、割れの予想、質感、など
向き合った数と時間は、手を通じて身体の中に刻まれる。

連日、経済新聞ではAI活用で効率化を図り、余った時間を別な部分へ向け
生産性を上げるような事が紙面を賑わせている。
確かに生産効率を上げる事は経済活動では必要だろう。

手から伝わる木の質感、
目に見えない微妙な安らぎ、人の持っている感覚、
ここら辺の人間的な感覚、感性はAIでの応用は可能なのだろうか・・?

某木材市場では運送屋さんに倉庫の木材の管理業務委託している。
立て掛けから積込みまで
実際に手で木材を触っているのは運送屋さんという事になる。
その山の材木の事は木材を販売する社員さんに聞くより
現場で実際に触っている運送屋さんの方が良く知っている。

口先だけは持続可能だとか耳触りの良い事を言っていても
実際には何も木の事、知ってないんだなぁ・・って事はよくあること。
それでいいなら、木のプリントで済ませればいいんじゃないの?とも思う。
木は別にトレンドじゃないんだしさ。。
踏み台にされるのも木も迷惑かと思うよ。。

本物の木には何かとてつもなく別な大きな力
人と木の関係があると思っている。
木が人に与える影響も大きいと思っている。

昨日、ご来店いただいた工務店の社長さんが何してんの?と
言われたので皮を剥がして桟入れして天然乾燥して
この材が使う事ができるのは3年以上先のになるんですとお話したら
驚いていた。
全ては思い通りにいう事を聞いてくれない木たちが
住宅やお店で使われる際に、なるべく皆さんに可愛がっていただけるように
という木材愛からこの地味な作業を続けている。
主役は木、我々はそこに仕えるものとも言える。