MUKU-DATA  古民家改修  

ガタついて閉まらなくなっていた昭和中期のアルミサッシを取外し、
今度は昭和か大正か、更に古い木のガラス戸へ入替えする工事。。

なんだか時代と逆行している。単板ガラスのサッシからペアガラスの樹脂サッシではなく
更に性能だけみると良くない古い建具に入れ替える工事。。。
良いと思う。面白いじゃないですかぁ。。。
この建物は戦後間もなくして建てられたというから
約80歳となる。その佇まいに、高性能サッシを取付けてもギャップがあり過ぎる。
そして外回りの開口部分のみ気密性能を上げたところで全面改修工事を行わない限り高気密高断熱高性能な家には生まれ変わることはできない。。
このままの佇まいを残しつつ性能をあげるとなると新築の倍以上の金額が必要になってくるだろう。。。

求めているのはそこではない。
極力お金をかけずに残せる雰囲気の良い部分はそのまま活かしつつ・・
駄目な部分は今の雰囲気を損ねずに直す。

オーナーさんは若い方、畳間の冬の寒さを知らないから出来る事なのかもしれない。
そんな事より古い佇まいの良さに惹かれることの方が大きいようだ。
一定数このような考えの若い方が確実にいる。

黒く使い込まれた松の床を剥がしてこの部分の縁側に再利用
アルミサッシを外し木のガラス戸を取付けると随分と印象が変わり、
しっくりとする。
きっと新築当時は木の扉が付いていたはず・・
本来の姿へアルミから戻され家自体も喜んでいるのかもしれない。

雑草の緑が古い床に反射して薄暗い室内に入り込んでくる。

床の間の板は隙間が空き地面が見える。
この部分に渋めの黒檀突板貼りの面材を提案させていただく。
狙いどころは古くても華やかで渋い材が部分的に使わている感じ
昔からあったかのように。。。
オーナーさんのイメージはある程度方向は明確なので、
求めている雰囲気で近いと思われる材を提案するも、
バッチと決まらない事も多い。
これにすれば70~80点ではなく
まだ気づいていないであろう材を材屋として提案するのが仕事。

やぶ蚊が多くいるので、大工さんが数カ所に蚊取り線香を焚いていた。