MUKU-DATA  黄檗、黄肌(キハダ)

製材後、一枚板の樹皮を丁寧に剥がす。
皮を取る、皮を剥がすとか我々は言っています。
樹皮が残っていると虫が入り易いからです。
かといって、皮を剥がしたから虫は入らないとは限りません。
また人工乾燥をすると虫が出ないと耳にしますが
実際に人乾した板にも後から入ったのかもしれませんが虫が出る事もあります。
この虫に関しては、虫の多くなるこの時期、いつも考えさせられます。
自然が作った天然素材である木、
どんな木にも虫は入る、虫の入らない木はないと耳にすることもあります。
桧の樹皮の部分にも虫はいますし、樟は虫が入らないと以前文化財を扱う方が言われていましたがそんな事はありません。
倉庫にある樟の辺材付近には小さなピンホールが無数にあいています。
白太は食われるが赤身は食わないという方もいますが、
胡桃や桜は赤身部分にも虫穴があるもののあります。

昔は欅の板の巾サイズは赤身部分を計って巾1尺5寸などと言っていたようで
白太部分は巾として計算しない、白太は木ではない?といった感じだったのかもしれません。
現在一枚板の多くは辺材部分の耳と言われる部分を残したものが好まれる傾向にありますので
白太を虫にやられずに残す為に神経を使います。
その為、製材後に桟入れして乾燥させる前に、
剥がないよりは剥いだ方が良いだろうと樹皮を剥がす訳です。

その後、割れ止めを施し保管し、保管期間中も材の状態や
虫がいるかどうか観察しています。
時には防虫材(人体に害がない程度のもの)を使うこともあります。
ここでいつも自身の中で矛盾が生じてきます。
きっと強い防虫を施せば虫は付き難いのでしょうが・・・
果たしてそれがいいのかどうか・・・
無農薬野菜と似ている感じかと思います。

天然物である美味しい物には虫が付く・・
木材も質感や見た目はそれが欲しいけど虫は嫌。
そうですよね、良く分ります。

なるべくそうならないように、今日も挽かれた材の手入れです。
手をかければかけた分、応えてくれるのも材木の特徴かと思います。

キハダは樹皮の内側部分が黄色です。

皮を剥がした後は、今度は割れ止めを両木口、板目部分等に塗ります。
虫の次は、割れないように乾いてくださいねぇって表も裏も確認しながらの作業です。

こっちは楓、なかなか剥がし辛い・・・
あっという間に時間だけが過ぎていくが、結構集中できる作業

割れ止めを塗ったら、べたつきが乾くまでしばらく乾燥
ようやく桟入れして板を積んで保管となります。
数年後、良い状態で乾いてくださいねって願いつつ。。。