MUKU-DATA  秋田杉 赤 腰板 910×460 t7mm

浮造りのかかってある二分三(ニブサン=2分3厘=7mm程度)
以前、秋田の銘木市場で昔の良材で杢の良いものが出ていたので
買っておいたものです。
3尺の1.6尺あるので腰板でもいいですし、3尺間の天井などに向けてもいいかと思います。
現在リフォーム中の現場で
真壁造りの純和風住宅、玄関は格天井、12尺間口の玄関を入り
正面の向かって左が6尺廊下で奥まで続き、右半分は長押の回っている壁面となっている。
その玄関の正面右側に見える壁に腰板を使う事にした。
現状1回リフォームされた際にその壁と更に右奥に6尺の壁があるが
大壁クロスになっている。
1月の地震で壁が押されてクロスに亀裂が入り壁が出っ張ってしまっているので
その部分の壁の補修となる。

玄関を入って正面に直ぐ見える6尺部分は
A(共木2枚)Aと似たようなA’(共木2枚)を交互に並べ4枚使用
玄関から見えないその壁に続く奥の壁6尺はB(共木4枚)使用する事に。
いづれも真壁に戻すので、内法寸方は5尺6寸
巾1.6尺の板巾を1.4尺で落して4枚で5尺6寸の1組となる。
赤の線は、どこで切り落とすかを検討
やみくもにただ単に長さや巾を切り落としてしまっては
アンバランスになってしまう事もある。

本来こういった現場での造作は大工さんのセンス、好みに拠るところが多いが
今回は仕事を受けている責任もありますし
張り方で見え方も決まるので良く見えるように検討して
この位置でのカットを大工さんにお願いした。

AとA’は似たような木目で杢の動きのあるもの
一般的には和風住宅では動きのある木目の方が好まれる事が多いし分かり易い。
Bは玄関を離れて洗面、トイレ付近の続きの腰板として
木目の動きの少ないものを敢えて選択した。

12尺と通して張る腰板ではあるが
玄関側(強)と洗面トイレ側(弱)を意図的に強弱をつけて使う事にした。
A・A’とBでは A・A’の方が3割ほど枚単価は高くなる。
態勢に影響がない程度の金額ではあるが全部同じような木目を通すより
玄関側に動きのある杢の腰板を使った方が「玄関」と「手洗い」部分が
違うという事の見え方や効果もあるのではなかろうか・・

予算はいくらでもいいので、全て最上級の上杢の共木で
と依頼されたとしても
果たして張りあがり、見え方は、どちらが良く見えるのか?
全てに良いものを使ったからといって、決して良く見える訳ではない事は
和風に限らず、今どきの家でもそうだろうし
家以外の事でも同じことが言えるのは皆さんご経験された事があるかと思う。

なんといっても、
あまりみんなの目に留まらないような材木を安く仕入れ
アイディアとセンスでどこにもないような物が出来上がり
全体がとってもイイ感じに仕上がった時の喜びはひとしおかと思う。
費用対効果最高!!出来上がり抜群!!
普請道楽って言葉が昔はあったが
きっとこういった感動経験から普請好きになっていくのかもしれないなぁ・・・