MUKU-DATA  杉 紫(天然色) 180×18mm

なぁ~んて、紫天然色なんて書いたけど、そんなのただの渋でしょ。。
そうです。渋っ気の強い杉の赤身部分です。
一枚板をはじめ各種材を扱ってはいるが、なんやかんや言っても
一般材としての杉に触れる機会は日常の作業。

材木屋になりたての頃からみっちりと杉の事を教わり、
一時、新潟県はスギの赤身が好まれ、和室柱(芯持ち、割角含め)造作材(鴨居、長押、回り縁、竿縁・・)と赤でまとめた和室が主流だったので、
「杉の赤」どの色が良いか?赤の色合い微妙な違いの好みも大工さんによって分かれていた。
朱が強い赤が好きな大工さんも居たし、優しい秋田杉の赤(ピンク色に近いが色を揃える為、薬品処理をしていた事も多かったようだ)が好きな人もいたし、
吉野の油っけの強めの少し濃い赤身好みの大工さんもいた。
杉の「赤」に対して、好みが分かれていて、
杉の赤造作があれから未だに続いていたのなら、今頃は確実に赤の色分けでの商品としての細分化が進んでいた事だろう。

そんな中、赤信仰の中で、唯一嫌われ者が、渋の強い赤黒い色
市場内では良く渋抜きという薬品で、色の黒い鴨居や長押など灰汁抜きしている光景を目にしていた。

弊社も然り、薬品はあまり使わなくても、例えば当時良く出た
吉野 4m 135mm角 芯去り赤役物柱は 買いで80,000~100,000/本 
大工さん売りで 100,000~120,000/本、2間続きの和室で20本弱なんていうのも良くあった話しで
ちょっと渋が強い柱は、納品前は渋が気になり、陽のあたらない外に立て掛け
雨に時々当てて渋抜きをしたものです。
赤の鴨居然り、赤の長押も同様に、割れないように日陰を選び
納品までの数週間、を待ち渋抜きをしていました。

納品まで渋が完全に抜けきれなくて大工さんの作業場へ納め、
文句を言われつつ、削ったら色が取れたなんてことも良くあった。

これは弊社が特別赤に拘りがある訳ではなく、新潟県内はどこの材木屋も
同じような杉の赤の経験を当時はしていたかと思う。
吉野方面から大量に送られてきた杉の赤も今はそれを挽く製材工場は数軒ほどしかないという。

話が長くなってしまったが、
赤味の中でも嫌われ者の赤黒い渋の強い材、
これは本来、耐久性は、より強く良いのではないだろうか?と思い、
数年前に確かこのブログのどこかで書いた記憶がある。
例えば使えそうもない上小節赤の鴨居をデッキ材へ転用とか
キレイな揃った赤身よりも赤黒い方が映えるかもしれない。
2~3年前の秋田の銘木市には、吉野方面の丸太を挽いたら渋が強すぎて黒に近くなっていたものが
吉野ブラック」なんて名で売られていた。
当時赤身部分は黒かったが、最近までその木が別な市場にあり見ていたが
それなりに黒色は抜けて赤身を帯びてきていた。

そんな中で、先日配達から帰ってきたら、ん?これ紫じゃん?
疲れすぎていて目の錯覚か? でも黒というよりは紫だよね・・・?
って渋が強い杉が挽かれて置いてあった。
外壁用なので、特に外に立て雨に当てる必要もなくそのまま赤身として
この梱包の中で天然乾燥されるが、色は次第にある程度は戻ってしまう事だろう。
価値観のちがった今、このままの色をキープできるのであれば、
紫の杉で売りたいなぁ・・って眺めていた。

赤ではなく、「紫の杉」そのままの色だったら、
どこかに使ってみたくないですか?

先代からすれば何を馬鹿げた事をほざいているんだって感じなんだろうけど、
木の価値観は多様化しているよね。
良い事だと思う。

 

一昨日、帰ってきたら疲れて目の錯覚か?
紫だよね?これ・・・って


昨日の朝の紫の杉 ほぼ変化なし

こっちは通常の赤の挽き板

同じ杉の赤でも、微妙に色合いは違う。
当たり前ですよね。同じだったら逆に怖いわ・・
まぁ良質な和室の造作であるならば、同じ丸太、できるだけ近い色合いでまとめるってのは
いいだろうけどね。
でも赤の中でも真ん中の渋の強い紫に近い黒の色合いから変わるグラデーション、
キレイじゃないですか? 昔だったら撥ねられ嫌われもんだったんですよ。。