MUKU-DATA 神代タモ  新潟市 庭真 様 事務所

庭師の長井さんに用があったので昨夜久々に事務所へ行ってきた。
事務所で使われている材たちは弊社倉庫で長井さんに直接選んでいただいた材木たち。
竣工して3~4年経過したかと思う。
久々に事務所へ入り、まず感じたのは「良い!」
「あぁ いい感じに木たちが熟成されてきて納品時よりも更に良くなっている」
と思った。

作庭する長井さんは、その敷地のどこにどんな木を植え、高低差をつけ、
古びた石はどこに置こうかと常に考えているんだろうと思う。
これとこれを組み合わせたらこういう効果が出てくるとか・・
キレイな樹木、壊れた樹木、混在させながら数年後に成長して育った姿を想像しているのだろうと思う。
「植えた木たちが育ち、庭を作ってくれる」と言っていた。

この神代栗の丸太、何でここに置いたの?と聞くと
天板が浮いているようでそれはそれでいいんだけどそこに置くことで安定感がでるので。。というような事を話していた。
庭造りをしているプロは、木材の組合せやバランスも上手いんだなぁと思った。

植物の木が育ち庭を作っていくように
使われる材木もまた年月を経て室内空間の空気感を作り上げていく。
木は熟成しながら経年変化し深化しつづけ深みを増していく。

この穴のあいた神代タモの天板・・
当初は少しこの穴は抵抗があったのかもしれない。
でもこれが育ったままのこのタモの姿で樹芯に近い部分は朽ちているのが
この神代タモのそのままの姿。
時々ファブリックのセンタークロスや敷板を天板に敷くそうだが
その際はこの穴の部分には敷かず敢えて見せているらしい。
「これが良いんじゃないですか!」と言っていた。

銘木とは、、
本来木の持っている欠点と言われている節や割れ反り、癖、腐れなどを取り除き
無欠点材として良い部分のみを部材として仕立て上げる。
それはそれで素晴らしいことだし美しいものも沢山目にしてきた。
この穴の空いた神代タモだって、傷んだ芯の部分を取り除き
縮み部分のみの木取りして木工用部材として木取りをして銘木に仕立て上げれば
このままの状態よりも高く販売できるほどの材かと思う。
でも、この姿や景色ってどこか捨てがたい良さ、力強さみたいなものがありますよね。。
仮にこの穴の部分をセンタークロスで覆って隠していたとして
クロスがズレた際に見えてくるこの穴は
何だか悪い部分を隠していい部分だけ見せようってする感じがして
ちょっと嫌な残念な気分になるような気がする。
それはこの木に対してではなく、
この木を使う人の気持ちがその行為を通じて垣間見えるからということなんだと思う。

材木って凄く力があるので使い方は難しいんだろうけど
いろいろと試して欲しいなぁ・・って思います。