MUKU-DATA  下見板張り(雨対策を兼ねて)

ここの古民家のメンテナンスを必要に応じてさせていただいているが、
当初より年月の経過と共に雨樋が殆ど残っていなかった。
2階の屋根からの雨水は一階の大きな屋根へ落ち、更に下屋へ集まってくる。
外壁は、塗り壁の下塗りのままで、
軒の出は長く出ているが(3尺ほど)
大量の雨の日は跳ね返りの雨が土壁へ滲み込んでしまう。
外壁と屋根の取り合いの土居熨斗瓦の上には通常は板金で水切りを金物を入れて施工するが
昭和の初期は、このように土居熨斗の上に水切りがないものも多い。
また、外壁をいじらずに、瓦の載せ替え工事の際も
土居熨斗の裏に水切り金具を屋根屋さんは施工するが、
外壁部分は触れない為に、立上りは少なく雨仕舞に関して心配はある。

切妻玄関屋根の登り付近と雨水が集中的に集まる部分を中心に瓦屋根を取って
下地など点検、原因がわかったので処置をして
先週1週間の雨の降り続いた期間、様子を見て、漏れのない事を確認

下塗り壁の侘びた佇まいをオーナーさんは気に入っていたようだが
大雨になると外壁が滲みてしまう事が心配だったので
相談して下見板を張ることにした。

張った直後は真新しいので違和感はあるが、数年もしないうちに
馴染んでくるものかと思う。

下見板の木の家で、時々部分補修を行っているお宅を拝見するが、
物を大切にしているんだろうなぁと、そこの住人のお人柄まで想像できる。
使える部分まで壊して、全て新しくする必要はないと思っている。
勿体ない精神はケチ臭いとは違う。

不具合のある部分は少しづつ手を入れ直して使えばいいと思う。
この家は昭和10年代に作られたようなので約90歳という事になる。
まだまだいける。