■ MUKU-DATA  神代栗 L780mm  

古い木の格子扉に取り付ける、雰囲気のある木の棒=引手(ハンドル)
何かいいものないですかねぇ~  と相談された。

(木の棒ねぇ・・ 枝とかだと山小屋風味だし虫が出て樹皮が剥がれる恐れもあるし、古材で何か使い込んだものがあるかどうか・・何かいいもんあったかなぁ・・・ 。。。)

なんか見てみますね、って返事して頭の片隅においていた。

最近、キャラの強い材の要望が多い。
かなりハードルが高い。
例えばつい数日前は県外の大工さんから板でドアを作りたいらしく
2000×1000 巾1000mm必須 
板には穴が開いてあり、明かり取りにしたいらしく、国産材限定、
尚且つ雰囲気のあるもので。。。
その方、以前も電話をいただき、チーク材で像が山から材を引き出す為に
丸太に穴の開いた跡が残っているものないか?という要望
どれも納材までにはいっていない。

無傷、無欠点、要望のサイズ、これら良材はお金さえ出せれば
国内のどこかにあるだろう。。。
一方、細かいキャラの要望は良材を探すより難しいと言える。
そしてそのキャラの価値は価格には反映されていないということが多い。
求められるキャラが一般的には欠点と見なされている材が多いからである。
 
だから探し求める方は楽しいし、自分だけの宝を探し当てた感は強く
喜びも大きいものだろう。
お金では買えない自分だけの価値観とも言える。

木は使う人の考え方一つで、とても自由度の広がる素材とも言える。
なまじ材木屋程度のものが、用途など決めない方が
素材は多くの業界以外の人たちのアイディアで一人歩きを始め、
どんどん面白い使われ方をされていく可能性を秘めている。
むしろそうなって欲しいとどこか期待していたりする。
あぁ・・この木、こんな使い方できるんだねぇ・・って驚かして欲しい気持ち、
刺激されたいって思う自分もいる。
材木業界の思考なんてたかが知れてる程度かと思う。

話が逸れてしまったが、
神代栗の端材、、ここ数年挽いた神代木のバキバキになってしまった素材が多く残っている。
常にこれ、何に向けるのがいいだろうか・・・と片隅にある。
今回、これらの部材、もしかしてこれ引手にいいのでは?と見えてきた。
古い趣のある格子戸の引手、
例えば神代ではない栗の名栗加工も良いだろう。
(でもまぁそれもありがちだよねぇ・・・)
この自然に裂けた割肌、部分的なピンホール、そして真っ黒になった神代栗・・
ありかもなぁ・・と眺めていた。

日頃、頭の片隅に置いて頼まれている要望・課題の答えが
降りてきた瞬間。

でも、これは今、自分だけがこれがいいのでは?と思っているだけで
実際に格子戸に当てて見る事、取付方法、
何よりお客さんが好みかどうか?
そこではじめて成立する話ではあるのだけど。。。

この神代栗、さっそく提案してみよう。。
(意外と簡単に没になったりするけどね、、そんな繰り返しです)


追記:2021 8/5 8:51
全然別な話だが、メモ程度に・・
質感、握った感覚、
引手は別の部屋(世界)へ通じる為の入り口、
触った感じ、握った感じがとても大切だと思う。
細い棒ならそこへ向かう際に、繊細な気持ちになるのかもしれない。
ゴツゴツとして割肌でそれが神代栗の真っ黒であれば、その扉を引くのに
覚悟がいるのかもしれない。
用途に合わせたサイズ感、素材感、質感、見た目、・・・
扉に取付くこれらはきっと重要な部材の一つかと思う。
そこら辺も良く意識して今度これらの部材を考えてみようと思う。
忘れるといけないのでメモ