MUKU-DATA  2重屋根(上野地)鼻先化粧表し  設計・施工 西方建築

春先から材を納めさせていただいている西方建築さんが上棟を終え、現在は造作中。
納材前からどうも木材調書を見ても、寸法(特に茅負と裏甲)と納まりがピンと来ず上棟後何度か現場を見せてもらった。

材木屋になりたての頃は、頻繁にこのような化粧タルキの瓦の上がった和風の家の材を扱っていた。
隅木はほぼ皆さんサイズが決まっていたので根曲りの木を事前に製材して乾かしておいたり、
長い破風板は左右対にして日陰に立て掛けていたり、
要の部分は先代からの受け継ぎで当たり前のようにやっていたものです。

しかしいつ頃からか、めっきりとこのような住宅が減ってしまい、
軒裏はケイカル板に変わってしまい、多くの造作はなるべく手間のかからないような既製品に変わり、
技術などさして重視されていない風潮の真っただ中にあります。
全国を見渡せば、
大工技術を重んじて、実直に木と向き合いながら黙々と作っている工務店さんもあるのでしょうが・・
残念ながら、建物の変化から当然材も変わり、
材木屋としても一番覚えたかった、またその材木屋の腕の見せ所ともいえる材の供給の機会を逃してしまった。

春先から西方さんとのお付合いの中で、
今、再度これらを取り戻す為に勉強中です。

材木屋の利点としては、多くの工務店さん、建築家・設計士の皆さん、そしてそこに使う材に
毎日見る事、触れる事ができるということです。

感じる事、思う事は多々あります。

上野地(うわのぢ)は玄関周りには当時はよくやっていたように思いますが、
本屋根を2重タルキで納めるのは、多分初めての材の手配だったかと思います。
確かに屋根に厚みが出て、見た目もいいんです。
勾配の違う化粧のタルキがあり、隠れるタルキが更に上に流れてあります。
軒の出は3尺、2重にする事で丈夫になります。

本屋根に上野地を掛けている屋根って意外にここら辺では少ないです。
最近は土手道(三条小須戸線)など走りながら屋根の厚みを見て構造を空想するのが楽しみの一つです。

親方は60ちょい、後継ぎの倅さんたちは30代、
技術の伝承はしっかりとされています。

隅木の鼻先に斜めに打ち込まれた部材は、「ひよどり栓」と言うらしい。
はじめて見たなぁ・・・
やってみたかったと。。

決してふんだんにご予算のある現場ではないはずです。
手間がかかってもやってみる事、素敵です。

なんかいいと思いませんか
このような技術を大切にしつつ、建築家の方と共に作れそうでしょ・・

小さくてモダンな、尚且つ技術に裏付けされた、
何年も受け継がれていくしっかりとした家・・

なんとか形にしたいものです。

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