MUKU-DATA  黒柿 巾広  未乾燥材

イタリアンレッドのどこか物悲しい佇まいのアルファロメオに恋焦がれ
学生時代に食費を切り詰めバイトして、30万弱のボロなスッドを手に入れた。
それこそ後先考えず・・ エイ!って勢いで。
色もイタリアンレッドには程遠く、白でわずかベージュが混ざっていた微妙な色。
音はビービーといってあのかっこいいアルファサウンドとは違い、お茶目なヤツだったが、オーバーヒートでボンネットから蒸気が噴き出したり
強い雨の翌日は助手席の足元には水溜りが出来ていたりと
1年のうちで半年は修理工場行きとなっていた。

小学生の頃、スーパーカーブームが沸き起こり
カウンタックLP400 LP500S、ミウラ、フェラーリ356GTB、
そしてデトマソパンテーラ・・・と心の中が熱くなり心臓が爆発しそうな思いだった。
あの純粋に興奮できる気持ちはどこへいってしまったのか・・
情けなくなってしまうのできっと諦めて蓋をしているに違いない。。。


腐っても鯛、腐ってもフェラーリという言葉がある。
本物は永遠・・・
無傷の新車は手に入れられないだろうけど
少し無理をすれば、、傷んで錆びたものであれば・・・と少年の頃の思いは募る。

薄暗い木材倉庫で、巾広の黒柿の手入れをしながら
心はガレージでボロなスーパーカーを修理をするメカニックの気持ちをなぞっていた。