MUKU-DATA   槐(エンジュ)の階段手摺

木の迫力に圧倒されたT様のお店の続きなのですが、
各所に設えられた木の部材からは、とても参考になる事も多く
改めて「木の素材」について感じることも多かった。
写真は国産の槐という木なのですが
その佇まいがとてもいい感じでした。
例えば小丸太のまま使えば、ログ調になり過ぎるし
仮に大きな槐から手摺部材として木取りしたとしても
このようにはならない。
手摺として適材な大きさの丸太から木取りをして
天然の曲りを残しつつあまり加工を加えない。
でもちょっと角を出したり加工していないとログに見えてくる。
適材の大きさだから槐特有の白太も残せるし、
こげ茶と白のコントラストが美しい。
藤森照信さんの栗の柱の使い方に通ずるものを感じますが
果たしてこれを狙ってやったのか、たまたま偶然だったのか・・・
床に張られた欅巾広の乱尺床材、
歩いていると足の裏から感じる厚み、そして微妙な凹凸
10年経過して実部分は空いているし目違いも起きている。
今、無垢フローリングの加工技術も高まり、
施工方法も大工さんたちは手慣れたもので、
貼って数年経過しても
ここまで空いたり目違いを起したりしないのだけど、
このように暴れた欅の床が逆に新鮮で
むしろこっちの方が味わいもあっていいのでは?と感じたりします。
乾燥加工技術が高まり材の均一化が進み、
本来の無垢材の良さが薄れているなぁ・・と感じたり。。
均一になれば、あとは価格勝負、
例えば「ナラのUNI90x15mm自分のところいくらで出せる?」って感じで
なかば無垢材とはいいつつも既製品建材と同等な扱いで
簡単でクレームの少ないもの、そして安いもの、
既製品建具が一時流行った感じとどこか似ててチープな感じすらする。
東京目黒に並んだ一枚板、
1600,1800,2000,と選び易いようにカットされ均一な厚みに仕上げられ店頭に並ぶ。
木だから当然同じ材種でもそれぞれ顔があり表情も違うんだけど、
何か制服着せられ規則だらけに縛られた子供たちのように感じたり。。。
なんか違うんだよなぁ・・・
昨年から一枚板を大工さんに時間があるときに仕上げてもらったりしているのですが、
木の癖をみながら、
真っ平ではなく端は少し薄かったりと、
均一でなくてもその木に一番いい状態のままの仕上げの方が、
より一層雰囲気が残ったりするって事も感じていました。
ここT様にある材もそう、
床は目違いを起して凹凸があるし、天板は反りも割れもある。
自ら加工したものも多いのでガタついたり厚みが違うものもあったりする。
座って板に手を当てて撫でてみる。
厚みを握ってみる、裏面も手を走られてみる。
裏の仕上げが甘かったりするけど
あぁ・・いいなぁ・・って
感じたりする。
そういえば、数年前に新潟古町で飲んだ和食屋さんの神代欅のカウンターもそうだった。
ご主人が好きで木を集め、大工さんに作ってもらったといっていたが、
上等な神代ではなかったがカウンター裏面を触ると割れはあるし厚みも全然違うし
凸凹していたけど、何だかとても良かったことを思い出しました。
弊社は自ら木を商売としている訳で、
そこを口にするってことは欠点ともされている部分を(それが良さでもあるのですが)
補いかばうように思われてしまうのも嫌なので
なかなか口にしづらいのですが、
こっちの方がいいんじゃないの?
って感じたりします。
T様のところで感じたことは
木が好きだからできたこと、
木の特性を良く知っているからできたこと、
本当の木の家とはの
多くのヒントを改めて感じ、考えることができました。
たしかモモちゃんって言っていたような・・・
モモちゃんお出迎え(この前、市場に桃の木があったからわかってたら買ってきたら良かったね)
槐の手摺
床は欅乱尺の幅広
空きや反りなど足裏から感じる凹凸が心地いい
土間部分に置かれた瘤板(栃かと思うのですが)
使い込んだ感は味わい深いものになっています。
木は使い込めば使い込むほどいい感じなりますよね。
槐は魔除け

コメントを残す