MUKU-DATA  杉丸太木取り図(2022 8月現在の主な木取り)

ここ2~3年の弊社での杉丸太の木取り図は上の写真のようになります。
これはそれぞれの製材工場で作られる材の種類に寄って当然違ってきます。
弊社の場合でいうと4mφ40cm程度の比較的節の少なそうな丸太を中心に、
まず赤身の180×18mmの外壁を製材して(1本から12~15枚程度ですので300枚となると20本以上丸太を使います)
赤身を外した側板からは造作材(上小節~無節)を中心に取っています。

①外壁材(杉の赤身)180×18mm / 150×15mm / その他ご要望に応じて
②造作材 上小節~無節の赤、赤白(源平)、白の造作材
上記2点を中心に現状は杉丸太を製材しています。

③~⑤は造作材の色のことを示していますが、
③は赤身の造作材 赤身は芯から中心に形成されていきますので
赤身の部分は節が出易くなりますので赤の節のないものとなると
巾広や節無しなどハードルは上がります。

④は辺材付近の白太(サップ)部分
辺材付近は基本的に節は少ないのですがご覧の通り巾の広いものは取れません。
白のみで300巾となると径1mほどの丸太からの製材になるでしょうか・・・
例えば杉の羽目板で節のない等級(上小節、無節)は
比較的白い材が多いのは
辺材付近は節が少なく取り易いから自ずとそうなっていきます。
赤身の節無しとなると、、、羽目板の製品であったかどうか・・?
ハードルはかなり高く、単価も当然高くなります。

⑤赤白(源平)となります。
適度な大きさで製材時に一番多く取れる部分です。
杉といえば赤白、、 産地や土壌によって赤身の強い赤黒いものから
薄めのオレンジ系に近い色まで様々です。
新築当初は赤白のコントラストが強いと少し騒がしい感じになるかもしれませんが
暫くすると紫外線で色は徐々に薄茶系へ変わり赤白の色の差が気にならなくなるかと思います。

弊社での現状の杉丸太製材は上記のようなメニューを中心に製材しています。
これはその時々でお付き合いのある工務店さんの使われる材料の用途によって
変わっていきます。(今の製材木取りはここ数年がそうなだけです)
例えば役物の芯去り柱を中心に挽く工場であれば仕入れる丸太は変わってきますし、
KD構造材中心に量産する工場では300mm以下中心の並材丸太3~6mが多く必要になる事でしょう。
桧の土台中心の製材工場であれば大きな丸太は必要なく芯持ちの150cm~180cmφ前後の丸太の使用となるでしょうか・・
必要とされる材により常に仕入れる丸太と木取り方法は変化していくわけです。
そして適寸丸太が山から出てこなくなれば、それを製材する事ができなくなります。
例えば最近ではラーチ単板不足により、合板用杉丸太の一括総買い、
巨大な製材工場での集成材ラミナ用の近県を含めての山からの一括買い・・
材木として製材して使える丸太のバイオマス用へ・・
このような事が現実的になってくると(実際におこっているのですが)
弊社のような細かな要望になるべく応えようと製材している小さな工場は
丸太の手配もできず、細かな要望に応えることもできなくなり、、、
結果、どこも同じ材料の既製品しかない・・っていう事になるのでしょうね。

昨日は工場では造作材が作られていました。(日常業務の一つです)
大工さんが加工する前の5mm分増しした木取り材です。
手前味噌で恐縮ですが、製材して天然乾燥を行い、再割り、プレナー、適材へカットして部材ごとにまとめる弊社の石川の仕事をみながら、
私自身も過去に大工さんに良く言われましたが
建築の事を分からずにしてどうして大工に材木を販売できようかと
諸先輩方の大工さんから若い頃に叩き込まれたのですが・・
それを使う箇所、ある程度の納まりを知らないと、分かっているからこそ
木取り、色合わせ、モク合わせ、板目挽き、柾目挽き、・・・・と

建築のことを良く分かった上で材を作っている事が見て取れます。