MUKU-DATA  神代楡(ジンダイニレ)天乾、高周波プレス、プレナー
   SIZE 2950 550–540-650 t60mm  SOLD OUT 2023 06

「花よりも花を咲かせる土になれ」
誰の言葉だったか忘れたが(新聞か雑誌に出ていたと思う)
その時の心情にフィットしたので、メモ代りに使っている破棄してもいい見積書の裏面にマジックでその言葉を書き、今もデスク脇の壁面に貼ってある。
10年だったか、15年だったか・・経過して字は色褪せているが
気持ちは今も変わらない。
元々、裏方の大道具であったり、表に立たずに影にいることの方が向いていると思っている。
材木屋なんてまさにそのような立ち位置でいれる仕事だった。
大工さんの女房役なんてよく言われたものだ。
昔の建築では材木代は総建築費の多くの部分を占めていたから
表立たずに大金を稼いで賢いといえばそうかもしれないし、
ズルいと言えばそうとも言えるかもしれない。
女房役に徹していれば食える時代は当に過ぎて(大工批判ではなく)
材木屋も飯を食うには少しだけ前に出ないといけなくなったのかもしれない。

話しが随分遠回りしてしまったが
「神代木」と言われるもの、、、こちらも表に出ている華やかさはない。
地味な色合いで、何も言わずに沈黙しているかのようなものが多い。

先日行った器屋さんで商品を飾る棚板は古い欅材が使われていた。
板材は静かに器を受けて、並べられた器たちが一層引立って輝いていた。
そう、まさに名脇役! やるな欅と思って商品より地味な棚板に目が向いていた。
SNSで生け花の写真を目にするが、それも然り
あぁ・・受けの敷板がキラキラし過ぎて肝心な花器や花へ目が向かない。。
一方で古材、水車板など渋めのものを敷板に使っているものを目にする事もある。
古材であれば何でもいいって訳ではないけど、それが地味な脇役でいれた時
目は主体へと向かう。
神代木を見るたびに、そういった脇役的な無口な佇まいをしているなぁ・・
と感じる事が多い。

取りあえず古材使えば、それっぽく見えるだろう・・は
取りあえず木を黒く塗ってジャズでもかけとおけばお客さん来るだろう。。的な

取りあえず、神代使っときゃ・・・
そうならないように、
この無口な神代木を上手く使っていただけたらと思う。
沈黙しつづけている彼は名脇役の場を待っているのかと思う。