■ MUKU-DATA 杉 赤 和室造作材
杉の赤で。。と珍しく、杉の赤の造作材の注文をいただく。
言われる事がほぼ無くなった絶滅危惧建築材の一つかと思う。
新潟ではかつて和室造作材の材質を大工さんたちは争うように使っていた。
その中での重要なアイテムの一つに『杉の赤』があった。
源平(赤白)の和室柱から、芯持ちの赤(赤芯)、芯去り(割角)の赤、
2間続きの和室は4寸ではなく4.5寸、時に5寸と・・
これは施主さんに喜んでもらう為に、大工さんが予算を工面しながら
厚意で使われていたように思う。
結果、うちの柱は芯去りだった、、うちは赤を使ってもらった、、
うちは赤の芯去り4.5寸というように口コミで周囲へ伝わり
あそこの大工さんに頼むと良い材料を使ってくれる。
=あそこの材木屋は良い材を出してくれる。。となっていた。
現状は予算ありきで、その中でどれだけの事ができるか?だったので
いやぁ~大工さんその予算では赤の割角はどうしても無理だから、
赤芯でいきませんか?等のやりとりはあったが
出来上がった建物で材木屋も評価されてしまうのは良い時もあれば、
不本意なことも時々あった。
技術と木材はセットとなり出来上がった家の重要な評価対象になっていた。
他に建具、左官、屋根瓦・・と手作りの家は出来上がったものが全てなので
職人たちは施主にお願いされた感謝と喜んでもらいたい気持ちで
一生懸命、仕事に向かっていたかと思う。
材木屋になって約10年ほどは杉の赤を触っていたのである程度は勝手はわかっている。
今は杉の造作材でも白が求められることが多い。
大壁作りで白い壁には、源平の赤白では煩く感じるらしい。
(数年経過すれば赤と白の境界も曖昧となり馴染んではくるのだが)
丸太を想像していただければと思うが
辺材から製材して先ず白太、徐々に源平、そして赤身となっていく。
芯に近い赤になればなるほど節も出易くなってくる。
150mm巾程度の赤を挽くには270mm前後の源平の板の両端の白太部分を
落して赤身のみを木取りする。
昔良く言われていた、赤は源平の倍の値段するというのも分かっていただけるだろう。
赤は赤でも微妙に色も違っていて色々な赤がある。
可能な限りの色合わせ、見付部分の柾目の通りと目細さ・・
チェック項目は多岐にわたりハードルは上がる。
あれだけ市場に並んでいた赤の割角柱、それに付随した鴨居、長押、廻り縁の赤も今は市場で立て掛けられた在庫を見る事もない。
吉野方面で赤の造作を製材していた工場も数年前に聞いた時は1~2軒しか残っていないといっていた。
造作材を杉の赤で・・・
へぇ~どうしたん?どうして赤なん?
昔を思い、やりがいのある仕事ではある。
追記:赤の鴨居の事で
赤の造作材いうと主には吉野方面の赤を使う事が多かったが(一部秋田天杉)
吉野方面の赤の鴨居で
3面無地を「〇特」、2面は「極松」、上小節を「赤松」と言って
仕分けされていた。
杉なのに松、最上級のグレードには松はつかず〇特(マルトク)
なぜこういわれるようになったんだろう・・?と
長年の疑問が解消されないまま、赤の鴨居が姿を消してしまった。。。