MUKU-DATA  楓 片耳付きカウンター 2枚取り製材 ( 1/23)

先日お客さんに見ていただく為に用意した楓の耳付き板(カウンター用)
昨日、施主さん建築家、現場監督と現物確認に来られた。

両耳付きの一枚から良い部分のみ木取りして1枚取る予定だったが
LDKの左右対となる、一枚はカウンター材、もう一枚はベンチを兼ねた窓台の
2枚をこの一枚から木取りすることに変更となった。
(そうかぁ・・ そうきたかぁ~ )


窓台を兼ねたベンチ兼用カウンター材は取り付ける為の納まりが込み入っていて
詳細納まり図を見ながら検討されていた。
糸を張り、何ミリ逃げたところで、チリがどうこう・・
マスキングテープを使いながらギリギリの所を狙って板に印をつけていく。
原寸図というよりは、現物図といったらよいか。。

建築家は全体を見ながら、詳細納まりは現場監督と相談しつつ、
都度、施主さんにどうなるか伝えていた。
材木屋としては出る幕はない状況だったのでその場を外して
自分は別な仕事をしていたが・・
1時間以上はあれこれと検討していたかと思う。

ギリギリで攻めた現物図の説明を受ける。
ここで、但しなんだけど、
両耳付きの板は割ると多少なりとも動く事が多い。
ギリの墨付けも工業製品素材を扱うように素直にはいかない。
ここは材木屋の経験値となるのだが、
しかし、多分この楓は割ってもさほど動かないだろう。。と見える。
途中で穴が空いてあるので力が逃げているようにも見えるし
3年寝かしてネジレ具合などから、なんとなくそう見える。
これは上手く言葉では説明できない。
念の為、少し反ったら修正挽きしなきゃいけないので
その2枚に割るラインを15mm程度ズラして製材する事の了承を得る。

現物に詳細が記載されてあるので製材する時に忘れる事はないのかとは思うが
どうせなら、今日もう製材して2枚のカウンター材を取ってしまおうと
午後から時間を見て説明を受けた箇所のポイントを押えて製材した。

一枚は厚みの指定があったので、厚さを変えると材面の顔も少し変わるが
まぁ、何とかご要望通りのものが2枚取れたかと思っている。

更に、もう1つは框材
ストレートカットした際に残しておいた耳の部分
この耳を利用して上り框として使う事になった。
とにかく耳部分は木の癖が残っているのだが
これも寸法通りに製材したがやはり湾曲度合いが強く出たのだが、
こっち方面の反りは押して取り付ける事ができる方向の癖なので
問題はないのかと思う。

因みに耳付きの細めの上り框(床見切り)材に関してだが、
これは最初からこれを使おうという予定ではなかったもの。
最初から図面に耳付きの60×40mm程度と書かれてあっても
そんな事に応えられる材木屋なんてないだろうし、あっても悩むだろうなぁ・・
弊社だって、応えたいけど、それはどうなるかわかりませんが努力します程度しか言えないのかと思うが何故にそれが今回できたかというと、
またまたその材が木材倉庫にあってそれを使ってみようと建築家?施主?
が思ったから
、そういう流れになった話である。

同じ事をまたやりたいと言われても
落してもいい板、傷んでいない耳が残っていればできるが
いつでもできる訳ではない。
この1本のたかが床見切りではあるのだけど
材ありき、そこにある材を使って作った方がもっと良くなるのではなかろうか?
と常々考えている思考がなければ
こういった事には発展していかないのかと思う。

施主さん、建築家、現場監督、皆さん楽しみながら建築している事が伝わってくる。
それが何よりだし、そんな建築の一部材として使っていただける
材木に携われる事はありがたく嬉しい事。
建築は楽しくなきゃいけない。
人生で最大の買い物、どうか皆さん折角の一大事業なんだか
そこで携わる職人さんや多くの人たちと楽しみながら作っていって欲しいと思う。
みんなの心がこもって出来上がった家は、温かい。