MUKU-DATA  バストゥーンウォルナット 2350 980-700-740-980 t65mm 広島県 H様
もう1年近く前になる去年の12月半ばに
一通の丁寧なメールをいただいた。
ブログで写真だけ載せていたバストゥーンウォルナット4枚の内の1枚について
それからまだお会いした事もないHさんとのメールのやりとりが始まった。
文面からとても木の事を良く知っていて理解されていること、好きなことが伝わってきた。
木は知れば知るほど難しい。
そしてその一本、一枚に正解という答えがない。
数年前までは、木なんて写真だけで売れるもんじゃないって思っていた。
今もその基本は変わらない。
その一本、一枚に対して、伝えなければいけない情報量が
とてもメールや電話、写真だけでは、そのものが持っている本質的なもの、
これは私が感じる本質的なものであって個々にその捉え方は違うので
販売する方としては果てしなく伝える量と責任があるように思うから・・
実際に見ていただくのが一番だと思っている。
新潟市秋葉区の僅か200坪程度の倉庫の中にあるたかが数百枚の内の一枚に
お声がけいただけること
全国から見れば小さな点一つのここへ
お問合せいただけることは本当にありがたい事だと思っている。
このようなメールが少しづつ増えてきて月に何通かメールをいただくようになった。
返信できるメールと出来ないメールもあるし、まだ返信できていないメールもある。
少しづつこの作業(まだお会いした事のない人のお問合せに応える作業)にも
慣れてきた。
別な業種でネット通販をされている方に前にこのメールでのやりとりの事を話した際に
対面していない人だからこそ、
丁寧に商品の説明が必要だし、実際にお会いするよりもお人柄が分かってくることも多いと話されていた。
ほんとそうだなぁ・・と思う。
こうしてHさんとの写真のやりとりは始まったのですが、
しばらくやりとりをしている中で、あぁHさん木を良く知っていてそこら辺は細かく話さなくても
理解していることがわかってきた。
バストゥーンウォルナットは決して安いものではないので
できるだけ詳細にこの木の写真を送っていたのですが、
既にクラロその他の板を所有しているようで、その返信は木の事を理解している内容だった。
私の場合、特に一般的には欠点と言われる部分を強調して
説明する場合が多いので、
木をよく知らない人には不安にさせてしまう事が多いのかもしれない。
だから良く知っているプロへの販売の方がどちらかというとツボを押さえて
気持ちが楽に販売させていただけるようにも思う。
そこから始まったHさんとのメールのやりとりは
どちらかというと、ご心配なくそこら辺は良く理解していますと逆に肯定されて
励まされる内容の返信が殆どで、前に少しづつ進み仕上げ完成させることができた。
そしてスポルテッドブナ材でのTVボード製作へと発展したのですが、
このバストゥーンもそうですが、SPブナのTVボードの件も
その都度のやりとりが自分の中で色々あり過ぎて、
どちらがお客さんか良くわからないほどにこちらにお心遣いいただき、
話がまとまらずに未だ書けずにいます。
スポルテッドブナ材でのTVボードの事はまた何かの機会に書かせていただこうと思っています。
このバストゥーンウォルナット、
最終はサンダー#400番で仕上げたのですが
最終段階で、オイル塗装を塗るか?無塗装のままでいくか?
という相談もしました。
通常、ウォルナットはオイルを塗ると劇的に色や木目が深くなり
わぁ~って感じでその変化に感動する事が多いのですが、
過去にクラロウォルナットに塗装をした際に、
塗る前は微妙な色合い(こげ茶、紫、オレンジ、黒筋・・・・・・)
きっと色を正確に分けたなら1000種類以上
その材面に微妙なグラデーションで変化している色があったのが
通常は塗ることで全体はクッキリと杢も立ち、ハッキリしてくるのですが、
少しそのクラロの杢目が沈んでしまうような感覚を感じた事がありました。
インドローズはオイルをそのまま塗ると間違いなく微妙な色が消えてしまうので要注意です。
バストゥーンはそのグレーがかった色も魅力の一つですので
この材に関しては経験値がまだ少ないので慎重になりました。
丁度共木でこのバストゥーンを削ってあった別な一枚があったので
水で濡らしてみたりして(厳密にはオイルと水では見え方も違うのでしょうが)
その様子も写真に撮って相談させていただきました。
クラロとは違って
このバストゥーンウォルナットに関しては
オイルを塗布した方がいいようにも感じました。
出来る限り最高の状態でお届けしたい・・という気持ち
まだお会いした事もない方なのに
逆にこちらにお心遣いまでいただいて・・
是非このバストゥーンがご満足いただけるものになれば・・という
思いからでした。
無塗装の状態
オイル塗装途中 半分
オイル塗装中全面
オイル塗装 拭き取り後 木表
こちらはオイル拭き取り後の木裏です。
夜になって照明の関係で少し色が違っていますが。。
既に何枚か一枚板を持っているHさんは
このバストゥーンウォルナットを時にテーブルとして、時に立て掛け鑑賞用としてとの事で
この板を立て掛ける際に置く敷台もついでに頼まれました。
材はあえて白のホワイトアッシュということになりました。
本来であれば実際に配達してお届けして
お礼をいいたかったのですが、
新潟ー広島間 調べたら片道1100km・・ さすがに時間的、費用的な問題で
厳重に梱包させていただき郵送させていただきました。
届いたその日の夜、早速
バストゥーンウォルナットを立てかけた写真をいただきました。
とても嬉しい感情と不思議な感覚とか色々と入り交じって
写真を拝見させていただいていました。
ついこの前まで、全国から見れば点の小さな倉庫にあったバストゥーンウォルナットが
今、広島のまだお会いした事もないHさん宅に堂々と立っている様子、、
ありがたいことです。
木は知れば知るほど深くその答えはない。。
だから、直感でいいんだと思います。
好き。
もしくは
好みではない。
このバストゥーンがきっかけとなってHさんとご縁を持つことができた訳で、
この一連の約1年間にわたる励まされながらやってきたやりとりは
やはりブログでは上手くまとめることができませんでした。
伝えたいことが多くあり過ぎて
未だまとまらずにいます。
一枚の木を通じて、まだお会いした事もない全国の色んな方々との出会いやご縁をいただけています。
既製品で量産できるものであるならば、
もっとサラリとしたもので済むことでしょう。
木はみんな違うから・・
みんな違う木の先にみんな違う人がいて、
だから更に深みにハマっていくのかもしれません。
もう抜け出せないのかもしれないし、、
あるとき、プラスチック既製品だけでもういいや
ってことになるのかも・・分かりませんが
(いや、それはやっぱ生きてる間はないなぁ・・)
全部違うことを全部違う考えの人に伝えていることが
好きなのかもしれないし・・
その辺、よく自分自身もわからないのですが、、
このバストゥーンウォルナットっていいよね、
この木いいよねって
ことで
毎日少しづつでも歩んで行けているってことだけは事実です。

コメントを残す