MUKU-DATA 上:屋久杉 下:桑  新潟市 I様

しばらく前に、付き合いのある左官屋さんが
桑材を探している知人を木材倉庫へ連れてきてくれたが、
丁度探している適材がなく、、
(桑かぁ・・・ いいよねぇ・・桑も。。と印象に残っていた)
その後、今度はその方が本社へ屋久杉の瘤を製材に来られて
屋久の瘤もその時初めて目にしたし製材も初めてだったし
本社にあった小さな桑の板を持って行かれたので、、
この方、木好きなんだなぁ・・しかも普通じゃないような材を探しているなぁ・・って思って
今度機会があれば、作ったもの見せてくださいとお願いしておいた。

今度とオバケは見たことがないっていうが、
今度も意外と早く訪れたし、オバケ級の作られたものが沢山あって驚いた。

若いころから木は大好きだったようで、伐根や家の造作など
随所に「なに?これ!」っていう木で作られたものが沢山あった。

そんな中でもやはり桑で作られた茶箪笥や引出付き和家具、飾り棚など
杢のある部分を木取りをして知り合いの職人にお願いして作られたものが
目をひいた。

肝心な何故に桑材へ興味が向いていったのかって事は聞き忘れたが
杢のある桑材は時間の経過と共に色は濃くなり奥行きが増す。
特に島桑で作られた木製品は深み、奥行き、キラキラと上品な輝きは
国産材としての品位すら感じてくる。

自分で好きな材を何年もかけて探し集めて
何を作ろうか構想する。。。
そして図面を書き、この部分にはこの杢目を使おうかとあれこれと考える。
これは誰にお願いしよう、
こういった細かな細工はあの人にお願いしよう。。と。。
長年の集めた材で木取りを行い、木工職人と相談して形にする。

この過程はワクワクして楽しいだろうし、
出来上がった時の喜びはひとしおであろうと思う。



座敷に置かれた桑材で作られた和家具
杢のある桑で作られたいる。
完成してまだ1年も経っておらず色は薄いが、もう数年経過すると
深く濃い色に変化していくかと思う。
塗装は無しで木地仕上げ




こちらは一番最初に桑材で作ったもらった茶箪笥との事
耳付きの材の白太(耳白)効果が出ているかと思う。



廊下で壁厚スペースを使った飾り棚
これも殆どが桑材。。 桑、好きなんですねぇ~





なんといっても一番感動したのは、
各所に使われている、引手
胡桃を縦割りして作られてあった。
職人さんは山奥の方の方と聞いたが、その地域のに代々伝わる引手なのか?
それとも職人さんオリジナルなのか?
こういった自然のものを活かし、部材として使うセンスには感動を覚える。
障子の骨で竹の縦割りした材を使ってあるのは雑誌で見たことはあったが、
胡桃を割ってこのように引手にして使う家具は初めて見て
とても感動した。
誰が初めに考えたのか・・・?
ものがなかった時代の知恵、センス、から生まれたものなのか・・
物で溢れている今は、多くの中からの選択に時間を費やすことは多いし
皆さん選択することには長けていると思うが
創造的でセンスの良さって、こういった事なんだろうなぁ・・って思って眺めていた。

これは屋久杉材に取り付けられた胡桃を割って取り付けられた引手



小屋の2階には長年集めた桑材、木取りをおえた端材などストックされてあった。
桑材専門店でいけそう・・?



これはねぇ、おじいちゃんが長年集めた桑っていう木を使って
作ってもらったものなんだよぉ・・って子から孫へと伝えられていく。。
長く年月をかけ、好きな材を集めながら、作るものを考えている時間は
最高な贅沢で充実した時間だと思う。

とても良いものを見せていただき、何故か元気とやる気が沸々としてきている。