■ MUKU-DATA  Meaningless 沢村澄子さん

昨日、木材倉庫に木を探しにきたお客さん
家具を製作するようで例えば神代栗であったり神代楢であったり
黒い木を探していた。
きっとイメージされているのは黒檀やアフリカンブラックウッドではなく
日本の黒、漆黒色を探していたのかと思う。
すると国産材では、神代栗もしくは神代楢しか
あの黒い色はないのかと思う。
そういえば、昨日は帽子から服、足先まで黒で統一されていた。

巾は仕上げで317mm必要で状態の良い神代の栗や楢は手当てが難しいし
あっても高くついてしまうので・・さてどうしましょうか・・?と手が止まってしまった。
杉の浮造り板を黒く塗りますか? しかも墨で・・ 
それとも栗の板を鉄染めしてみますか・・?
(栗の持つタンニンと鉄分が反応する事で栗は黒く変色する)

あーだこーだと話している時にタモの板に後ろに隠れていた
サイズが丁度ほどよい柿の木が顔をのぞかせていた。
(オイラここにいるよ、黒じゃなくて白柿だけど・・って主張したのかもしれない)
実験的に白い柿をベタ積みして放置するとスポルテッド化するんだろうか?と
少し屋外に放置していた柿の木だったが
結果は黒くカビただけだった。(放置期間の問題かと思う)
ちょっと前にプレナー掛けして倉庫に立て掛けておいたものだった。

作ろうとしている家具の部材としては、
これいいかもですね・・と数枚を奥から取り出して見てもらう。
白い柿の木地に黒柿模様ではなく黒カビ模様が点々と描かれてあった。
こっちの模様よりもこっちの模様の方が良い感じかなぁ・・と
作る家具をイメージしながら如何にバランス良く黴模様が入っているかの視点で
数枚選定していただいた。

柿の木と言えば、黒柿、キングオブ黒柿だ。
一部、ゴルフクラブヘッド材としては黒がない白い柿が必要とされている。
では白地に黒カビの出ている、黴柿は?
自分自身も自然にできたカビの模様は意図して描けない嫌味のない模様だと感じるが
材木屋としてのその材木の評価は?となると弱気な価格設定になっていた。
(実際には、じゃあ同じカビ模様の木を探すとなると唯一無地のものなのだけど)

そんな黴の点々とした模様を見ながら
沢村澄子さんの書?絵?墨で描かれた模様みたいなものを思い出していた。
確か般若心経を書いたと言われていたような・・・

その夜、沢村さんの書を無造作に置かれてある木々の中へ置いてみた。
特に何も違和感もなく、すんなりと木と溶け込んで見えた。