MUKU-DATA  茶神代欅 割れと虫穴を補修のサンプル

割れや虫穴などそれぞれが持つ木の特徴でもあると思っているが
木を販売するプロとしての立場上、
この割れいいでしょ? この虫穴がカミキリ虫にあけられたこの木の来歴ですよね~ 
とか本当に良いと思っていても言えない事も多い。
(欠点をこちらの都合の売りたいだけで言っていると勘違いされるのが嫌だから)
割れや虫穴も使う用途にもよるかと思う。
割れている事で自然なままの力強さを更に感じる事もできるし、
下手な補修を行えば、やらない方が良かった・・という場合もあるかもしれない。
どうしてもこうして欲しいとお客様に言われても
経験値で的確なアドバイスをできるようにならなければいけないとも感じる。
(過去、お客様からのリクエストでそのまま補修をやってしまい、
その通りに出来上がったが自然な一枚板の雰囲気が少し薄れてしまった事もある)

神代欅の巾ハギで作る数台のテーブル
無傷無欠点材のみの使用となるとハードルもあがり歩留まりも極端に悪くなり
当然コストは歩留まりに比例して1セット単価は倍以上になっていく。
ましてや神代木で色を合せた共木となると
かなり難易度が高まる。

例えば、この茶神代欅の補修をどうやって補修するか?
暫く前から考えていた。
ちょい割れやちょい穴はレジンでもそうコストアップにはならないかもしれないが
レジンは硬化するのに1~2日時間がかかるので1台のみの納品であれば問題はないが数台まとまった納品だと時間的な制約も生じてくるし
時間を置く長さ分、多少コストアップにも繋がっていく。

一枚板の補修でよく目にする同じ木での木屑と瞬間接着剤を使って
虫穴と割れの補修を木工屋さんがその場で実演してくれた。
(昔からある木屎(こくそ)と同じ)
補修は10分足らずで、この茶神代欅に関してはこの木屑の埋め補修で
問題ないとOKをいただく。
当初は埋木をしようか?
仮に埋木するならもうパッチワークみたいにデザインして埋めようか?とか
やっぱりレジンかなぁ・・とか
あれこれ考えていたが材種によってはこの木屑での埋め補修が
違和感なく簡単にできるという事を改めて感じた。

尤も、割れままでもいいのでは?派 なので
また一つ、補修に関しても隠した武器? 引出が増えたので
お客様のご要望に対して、
「このままもいいんですけどねぇ・・ 」
「では、 」とこの補修を提案できる事で
今、目の前にあるそのままの一枚板の状態を
自信を持って推すことができるようになったような気がする。