MUKU-DATA  井波別院瑞泉寺 本堂 浜縁 栃巾広一枚板

以前にもこのブログで書いたことがあったと思うのですが
瑞泉寺は木彫刻もさることながら、本堂の浜縁の上段の板に
栃の木が使われているのは、寺院建築ではあまり目にしたことがない。
地域柄、栃の大木が多くあったのかどうか?
社寺建築に関しては詳しくはないが
浜縁の廊下板というと、多くは欅や桧、
地域の小さな社寺だと杉が使われていたり、桜の木もあったかと思う。

瑞泉寺は、浜縁の下段は欅、上段の框も欅、上段の板に栃が使われている。
浜縁の廊下板に巾広の栃の木が使われているのは
全国的にも珍しいのではなかろうか?どうなんだろうか・・・?

現在の本堂は明治18年(1885年)に再建されたものとあるので
139年回廊の廊下板として使われてきた事になる。

下段は欅、上段の浜縁は栃、経年変化でグレーになる前は
さぞかし華々しかった事だろうと想像できる。

グレーに変色した栃の板も良く見れば初めから総純白だった訳ではなく
鉄砲虫の入った赤身部分も使われていた事がわかる。
これだけの数の巾広の栃を集めるのも大変だったことだろう。

長い年月の間に部分的に虫にもやられピンホールが無数にある板もあるし
弱く腐った部分は大きめな板で埋木され補修された痕も残っている。
それがまた大切に使われてきた感があって、なかなかいいものだなぁ・・と
眺めていた。
何度かここは訪れているが、何度見ても再建時に思いを馳せると
深く溜息が出てくる。
木の力、執念のような超絶技巧な彫刻群、そしてそれに向き合った人たちの情熱。