■ MUKU-DATA  築80年の古民家の大引き
古い建物の改修現場で使われている材や当時の大工さんたちの仕事の跡をを見ていると
多くの事を学ぶことができる。
当時製材機があるかないかのきっと出始めの頃だったのかと思う。
丸太から角にする作業は手間がかかっただろうし、板類となると更に労力を要した事だろう。
木材は高価なものであったので、逆に手間を惜しまずに随所に創意工夫の手の跡が残っている。
床を支える大引きは丸太なども使われている。
根太は敷居や丸太など再利用したのであろう。溝のあとが残っている材も使われている。
サイズはマチマチだが水平の高さを出す為に上端を手斧から鉋で仕上げた形跡もある。
この村は昭和15年5月に大火に見舞われその後作られた家が多いらしく、
下地に使われていた焦げた跡の残る材の再利用はその時のものかぁ・・と納得した。
製材技術が普及していなかった時代、
使わた材木には大工さんの多くの知恵と工夫が見えてきて、
心に響くものがある。
そして、そこに何か次に繋げていくべき大切なものが残されているようにも感じる。
地松板は再利用
20mm前後の古い使い込まれた板、釘の穴や反りなどはあるが、
新たにこの板を調達するとコストも大きいし、なりよりこの時代風味がだせない。
松の板の裏面には鋸の跡が・・・
手で横引きしたのか? 製材機の跡ではない。
畳下の杉4分板
丸鋸製材機の跡か・・・
これは畳屋が畳入替えの際に記載した配置図かと思う
床(とこ)框の下の蹴込板、
杉の面部分を手斧で斫り木目を模様に見立て、火で炙ってブラッシングしたもの。
材木屋になりたての頃、大工さんがこれと同じような蹴込板作りにチャレンジしていたことを
思い出した。
ちょっとした創意工夫で少しだけでも大工手間をかける事が
今の時代の建物ではとても効果が表れてくるかと思う。
使い勝手の良い便利な部材だけではなく、少しだけ手間を惜しまずに加工を施すこと
手仕事の跡はそこで暮らす人々の気持ちに少なからず何かを与えるかと思っている。

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