MUKU-DATA 楢(国産材)3枚ハギ材  

猫屋新発田屋的視点でいろいろな材を扱わせていただき
この材の感じいいんだけどなぁ・・から
やっぱりこういった材を求めている人たちは多いんだぁ・・と確証に変わってきた。
先週末は栃の木の厚み調整の端材、巾広の大きく薄い板を絵のキャンバスにするという。
木に絵を描く(木目など活かして)・・というお客様は過去3名、へぇ~って思う。
栗の虫食い板、、鉄砲虫かな、比較的大きめの穴が数カ所空いた板が
ハイセンスなお店の人の目に留まる。実際先月も東京へ2枚郵送した。
大きな樹齢のある栃の分厚い樹皮
樹皮をみているだけで長く生きてきた歴史と重みを感じてしまうが
生身の身体を自然から守ってきたアウターウェア
一生もの、、一生っていっても100年200年単位。。
一生ものの革ジャンのようにも見えてくる。
何故かその樹皮を週末木材倉庫へ訪れたお客さん、2名が欲しいという。
なにか作品作りのインスピレーションを与えているようだ。

自然界で長く生きてきた木々たちは
弱い人間のどこかを刺激してくる。

この国産楢の3枚ハギ用の板材
約15年ほど前に製材して桟入れして乾かしている間に
小さな虫に食われてしまって、材としては諦めていたものだったが
先日、コストをかけて削ってみた。
無数のピンホールはこれはこれで味わいがあるようにも見える。
ヴィンテージのオークで作られた家具や扉、小物などは
このように無数の何かの記号のようにも見えるピンホールが付いている事も多い。
エイジングを施し色付けすると新材なのにヴィンテージ感のリアルさは増すであろう。

木、材に対しての価値観は最近確実に広がった。
虫食いは✖、割れ✖、反り✖、節✖、若い木✖・・・・
全ては銘木屋的視点で欠点と言われる部分を全て取り除いて仕立て上げられてから
はじめて「銘木」として謳われる。
銘木屋、材木屋の視点、一方的に木取りされた価値づけに
そうじゃなくて自然体でいいんじゃない?と見れるようになった多くの目が広がっている。

銘木は銘木で素晴らしい文化だと思っている。
日本ほど材に関して煩い(厳しい)国はないと聞く。
無傷無欠点は最低条件、次に樹齢やその面に見えてくる杢目、
稀少性、色合い、深み、 見た目以外に佇まいとくる。
そういった材に出会ったとき、惚れ惚れするし、無理してでも近くに置いておきたくなることもある。
かたや、虫食いの板・・
これも良材にはない木+虫が作り上げたどこにもない自然美を感じてしまう。
ただ食っていればいいって訳じゃない。
黒柿の墨流し模様、スポルテッド材の縞模様の入り方が評価される銘木だが
虫食いの場合はそれとは違い、
その見え方、佇まいは銘木の杢目以上に一層厳しく評価されているように思う。
その点、銘木並に食われ方、見え方の良い材と出逢う事は難しいのかと思う。

長く毎日、木に向かい見つめ、触り、、
自分はどっちも好きなんだなぁ・・と思う。
適材適所、、ってこと
あとは価値観が多様化していることは良い事だと思うし違った見方を教わる事も多い。
材としてもっともっと色んな使われ方が広がればもっと自由で楽しくなるよね。