MUKU-DATA 楓耳付きカウンター 窓周りと上り框の納まり

木材倉庫から旅立っていった材木たちのその後が
どういうふうに使われたか?というのはとても興味があるし
一枚板テーブルであれば、完成したお宅へお届けする事が多いので
テーブルを設置した後の室内との関係は目にする機会もあるが
工事中に建物に取り付けられる例えばカウンター材などは
実際にどういう感じになったんだろう・・?と気になることも多い。
以前はできるだけ、それが取り付けれた現場を見に行っていたのだが
ここのところ、なかなか現場に行けていない。

現在建築部で施工を請け負っている金子勉建築設計事務所さんの「松野尾の平屋」の
写真が現場監督の長野から送られてきた。

あの楓がこんなふうになったんだぁ~!
うわぁ~ なんか良い感じ~  
材面を仕上げずに帯鋸目が残る粗木のまま使う事がある金子さんだが
ひとむかし前であれば、材はキレイに仕上げるもの
当たり前に仕上げてきた大工さんやそれを見てきた材木屋からすると
本当にこれでいいの?と少し心配になる事もあるが
最近はお付き合いのある工務店さんの設計士さんの中でも
「帯鋸目が残るこのままで」と言われる方もいるので
きっと素材感、ラフな感じ、光の反射など考慮されて
あえて仕上げないラフ挽き感を残しているかと思う。

ラフ挽きのまま使った場合、はじめは木にざらついた質感を感じるかと思うが
10年、20年、30年と経過すると共に
頻繁に使う箇所ほど緩い艶が出てくる事だろう。
まさにそこに住む人仕様に変化、深化した無垢材の姿がある事かと思う。
粗木の材がそこで住む人と共に育っていくという感じか・・
そういった流れも悪くはないと思う。
逆に一般的な仕上げた材に関しても、使いながら傷もでき味となり深みが増す。
木は時間を経ながら摩擦されその場にしか出せない質感、艶感へと変化し続けていく。

上記の写真、面白い納まりだなぁ・・と何度も見ながら考えていた。
建築は納まりの集合体
部材と部材の取り合いをどう納めていくかが、現場の腕の見せどころ。
窓際の窓台を兼ねたカウンター&ベンチにも使う楓の耳付き一枚板
間口は確か二間半(4.55m)で内法必要寸法は4.2m程度必要だったかとは思うが、
上り框までの必要長さは3.8mほどで足りるので後は納まりは現場で考えると
いう事で長さは少し足りないけれども、この楓を選ばれたかと思う。
寒い頃、木材倉庫で施主さん金子さん長野であれこれと長い時間検討していた

素材探しの頃、なかなか白っぽい木で4.5m~5m材の乾燥した材が出て来なくて
暫く探してはいたのだが、
仮に5m材の楓の乾燥材が見つかったとしても
予算的には合わない金額になったかと思う。
(確か当初はアッシュの耳無し4.5m材があったのでそれを使う予定だった)
工業製品ではない自然素材である一枚板ではこのケースはよくあること。
この楓、融かしてこねてもう50cmほど伸びたらいいのに・・
探してもその長さが出てこない時は出てこない。

そこで重要になるのが足りない長さをどう納めるか?
昔の木造建築ほど、大工の納まりの工夫や知恵を見る事ができその納め方に感動する事が多い。
ここの場合は耳付き框材の長さは十分足りていたので
窓際まで伸ばして納めて良かったんだろうが
それじゃあ、カウンターとの縁が途中で切れたみたいでいまいちイケていない気がする。
どういう経緯でこの納まりになったのか詳細は知らないが
現場で窓周りとカウンターと框材の取り合いを良く見ながら
判断したのかと思う。机上だけではきっとこの納まりはできないかと思う。

昔は木材は高価なものだったので、大切に無駄なく
足りない部分は工夫して知恵を出し合いながら各所を納めていった。
(私が材木屋になるずっと前の話)
足りなきゃ、逆手にとってそれ以上に良く見えるように考えればいい。
仮に長さが十分にあったとしたら、この部分をどう納めていただろう。。
(なかなか各所の取り合いが多くカウンター端部をどう納めるか悩みそう)
長さの足りた分、その金額に見合う分の納まりになっただろうか・・
この写真を見ながらそんな事を考えていた。

無垢材、一枚板類は、こちらの思い通りに使い勝手のいい建材とはいかない。
その材に合せて臨機応変に納まりを考え、変更できるところは変更しながら
その素材が持っている良さを引き出してあげること。
金子さんが設計する建物には、いいの?このままで??っていう
木の使い方が多々あるのだが
完成された室内を見ると
その木がそのラフな姿のままでなければ出せない味わい、
その木が持っているその木だけの良さが最大限活かされていると感じる。



4月下旬に完成見学会をやるそうです。
金子さんが作る「木の建築、木の室内」を是非体感されては如何でしょうか。。
☞ 金子勉建築設計事務所「松野尾の平屋」