MUKU-DATA  栃一枚板 人造耳部分

フォーカスしている耳部分は、人造の耳です。
一枚板天板の両耳残しの場合、耳(=木の樹皮の内側の辺材部分)は
その木の自然な趣を残し室内の直線に対しての緩やかな耳部分の曲線は
天然のものであることを意識させてくれて和やかな気持ちにさせてくれるものです。
ところが、この耳と言われる部分は、
傷んでいる事が多いのです。
樹皮の内側はだいたい虫の住み家になっていて、辺材部分は虫の這った跡や
虫に食われた穴などあることが多いです。
また辺材は木の白太(しらた)と言われ、腐れ易くボロボロになりがちです。
欅など良材の銘木類を扱うプロの中では、白太は木ではない、木の内に入らないと、
赤身の巾何寸で、材の評価をすることもあります。

ですので、天然木一枚板の中には、その両耳を擦り落とし直線にした
ストレートカットされた一枚板天板も多く存在します。
耳を落すことでシンプルでシャープな印象へと変わります。

ストレートカットと両耳付きは好み、と言えるでしょうし、
それを置く場所の雰囲気によっても変わることかと思います。

そうはいっても一枚板天板として使う方は
両耳付きの要望の方が多いように感じます。
より天然な感じを味わいたいのでしょう。

例えば1800×800の木取りされた一枚板の中で、天然のままの耳を使える箇所もあるが、
ボロボロになって、どうしてもその部分は残して置けない・・・という箇所もあったりします。
そんな時は、使えない部分のボロボロになった白太部分を落しながら
自然な耳に見えるように加工しています。
これはそれを仕上げる職人の技とセンスに拠るところが大きくなり、
その仕上げ方法で、随分と見え方も違ってきます。
一生懸命に加工しキレイにしようと手を入れ過ぎると、どこか不自然な感じに見えたりして・・
かと言って、ササっと仕上げてしまうと、何だか雑に見えたり・・
加減が難しいですよね。。

そんな中、先日この栃の耳、上手いなぁ・・ってのがあったので
写真を撮っておきました。
木目に沿って辺材付近まで凸凹に波打っている木の耳って時々目にします。

このように両耳付き天然木一枚板とは言いつつも、
(実際に一枚板専門の家具屋さんを見たことはないですが)
多分6~7割は何らかの人造の両耳加工を施しているものであろうことは想像できます。

こちらの一枚板天板はアパ、左手前がかなり痛みが激しくボロボロになっていたものです。
なるべく巾も確保との要望でしたので、少し強引に仕上げた、そうせざるを得なかったといったところです。
加工の苦心の跡が見て取れますが、あの加工前の傷みからすれば、
それなりに形なったかと思います。


右側は自然のままの耳が残っています。