■ MUKU-DATA  黒柿ブックマッチ 

傷んだ黒柿の丸太を製材し、割れ止めも敢えて施さずに、本社の毎日目が届くところに置いて数か月材の様子を観察していた。

市場へ出てくる製材された黒柿は全面に割れ止めが塗られ
外気と呼吸のできないラップされた状態が殆どである。
この方法がいいのかどうなのか・・黒柿丸太を多く挽いた訳ではないので
何とも言えないが、割れや収縮は軽減されるだろうけど乾燥までに時間はかかるのでしょうね。。

写真の割れ止めなど何もしない黒柿もご多分に漏れずパーンと割れた部分もある。
反りや収縮は思ったほど強くはなかったが、きっとこの丸太が伐られてから
長く放置されて木の癖がある程度なくなった状態だったことも関係あるように思う。(腰抜けの状態)

そんな状態を時々確認しつつ、これは傷んでいるがなかなか味のある木目だなぁ・・と思いながら眺めている。
何になりたい? どうされたい?と無言でこれら黒柿と対話する。
黒柿のブックマッチ、どうだろう?と早い段階から思って眺めていて、
またその考えを一旦崩して寝かせ、再度よく見て考える。
ブックにしたら半製品になってしまうから、
このまま素材を活かしてくれる方の元へいく方がいいのかなぁ・・
とも思ったりする。

でもちょっとこのカッコイイ感じ、ブックマッチで一度作ってから、
脚をどうするか?って考えてみるのも悪くはないなぁ・・と
また昨日眺めていた。

何度も書いているが、天然無垢材の一枚板の場合は、
図面に当てはめようとすると、どうしてもジャストサイズがなく、無理をした木取りとなり、結果高くついてしまう事も多い。
またサイズを合わせようとするばかりに、その素材の持つ良い部分を切り落とさなければいけない場合も出てくる。
天然木の良さを出そうと思って折角使われた一枚板が、
結果、その良さを活かしきれず尚且つ高くついてしまったら、
使わなきゃよかったね・・・って事になったら、悲し過ぎる。

まず材ありき、
この材をどこにどう使おうか? 何にするのがいい?
どう見せよう?
材との無言の対話は、目に見える結果は直ぐにはないにせよ、
材を活かすという観点では外せない作業、時間かと思う。

近年は、在庫を持たない工務店さんは多いが、
こういった一枚板類、古材類などは数枚、数本でいいので
何にするかわからないのだけど、気に入った材、気になる材があれば
手元に置いて眺めて考えてみるのも悪くはないと思う。
事務所の片隅に立て掛けておく。時々眺めてみる。
打合せ室に置いてみる。使う使わないは別でお客様とその材の事をお話してみる。
そうやって身近に触れていることで、
これだ!っていう適所が降りてくる瞬間があるかと思う。
材との無言の対話、、、
木の家にどうやって材を良く見せるかのトレーニングである。

逆の黒の少ない部分も、それはそれで良い雰囲気出してるんだよなぁ・・